新製品が続々と登場しているAtom N270搭載のミニノートPC(Netbook)は、5万円前後の予算で十分使える機能と性能を備えたサブノートPCを入手できるとあって、マニアだけでなく、一般ユーザーをも巻き込んだブームとなっている。
とはいえ、価格が安いだけにスペックが制限される部分も存在する。その最たるものが液晶ディスプレイだ。これまでAtom N270搭載ミニノートPCは、液晶パネルのサイズにかかわらず、解像度が1024×600ドットまでに抑えられてきた。横の解像度はともかく、600ドットという縦の解像度に物足りなさを感じるユーザーは少なくないだろう。
そんな中、九十九電機が9月3日より受注を開始した台湾GIGABYTEの「M912X」は、1280×768ドット(WXGA)表示の8.9型ワイド液晶ディスプレイを装備したAtom搭載ミニノートPCだ。画面サイズは先に発売された「Eee PC 901-X」や「Aspire one」と同様だが、解像度は大きく上回っている。また、タッチパネル式の液晶パネルを装備し、液晶ディスプレイを180度回転させて折り畳むことで、タブレットPCの形態に早変わりするコンバーチブル型ボディを採用しているのも魅力だ。
その半面、価格は7万9800円と値が張るが、新しいタイプのAtom N270搭載ミニノートPCとして注目できる。今回は9月中旬の出荷予定に先駆けてM912Xの実機を急きょ入手できたので、その実力をチェックしていこう。
まずは基本スペックだが、プリインストールOSはWindows XP Home Edition(SP3)だ。CPUのAtom N270(1.6GHz)とチップセットのIntel 945GMS+ICH7Mを組み合わせた構成は、前述の競合モデルと変わらない。
メインメモリは1Gバイト(PC2-5300 SO-DIMM×1)、データストレージは160Gバイトの2.5インチSerial ATA HDDを採用しており、HDDの大容量が目を引く。これだけの容量があれば、当面はアプリケーションや個人データの置き場に困ることはないだろう。メモリスロットは底面に1基あり、ネジ止めされたカバーを外すだけでアクセスできるので、2Gバイトのメモリモジュールと交換するのは容易だ。
ネットワーク機能は100BASE-TXの有線LANとIEEE802.11b/gの無線LANに加えて、Bluetooth 2.0+EDRも標準搭載している。インタフェースは、3基のUSB 2.0ポート、アナログRGB出力、ヘッドフォン、マイク、ExpressCard/34スロット、SDメモリーカード/MMCスロットを装備。液晶ディスプレイの上部には有効画素数130万画素のWebカメラも備えており、ミニノートPCとしては充実した構成といえる。
付属の4セルリチウムイオンバッテリー(7.2ボルト 4500mAh)によるバッテリー駆動時間は約3.5時間をうたう。本体サイズは235(幅)×180(奥行き)×42(高さ)ミリ、重量は約1.3キロとなっている。持ち運びが苦にならないサイズではあるが、このクラスのミニノートPCとしては厚みがあって重い。タッチパネル式の液晶パネルなど、かさばるパーツを採用したとはいえ、「Wind NetBook U100」のように10型クラスのミニノートPCが1キロ程度にまとまっていることを考えると、もう少し軽量化してほしかったところではある。
デザインに関しては、黒を基調に薄くタイル状の模様を入れ、ラメもちりばめた光沢塗装の天板がユニークだ。ボディはブラックとシルバーのツートーンカラーを採用し、個性的な天板に対して、液晶ディスプレイを開くとシンプルな外観になる。タッチパネル搭載機ということで、液晶ディスプレイのフレーム部は太く、画面やキーボードの周囲にゴムキャップや小さな突起があるなど、少し武骨な面も見られるのは気になった。ボディの剛性は問題なく、パームレスト部を片手で握って持ち上げてもシャーシがたわむようなことはない。液晶ディスプレイのヒンジもしっかりした作りだ。
パッケージにはACアダプタとリカバリDVD、予備のスタイラス、キャリングケース、マニュアルが付属する。ACアダプタは突起部を除くサイズが35(幅)×85(奥行き)×26(高さ)ミリ、ケーブル込みの重量が約198グラムと小型かつ軽量にまとまっており、ACケーブルが日本のノートPCのように細身なことも相まって持ち運びやすい。
キャリングケースはセカンドバッグ風の見た目はともかく、クッションはしっかりしていてインナーケースとして安心感がある作りだ。購入時のリカバリについては、HDDリカバリとリカバリDVDの2通りに対応しており、融通が利く。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.