WXGA液晶+タッチパネルが強みのAtom搭載ミニPC「M912X」を試すGIGABYTEは画面に一工夫(2/2 ページ)

» 2008年09月03日 11時01分 公開
[前橋豪,ITmedia]
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1280×768ドット表示の8.9型ワイド液晶はタッチパネルも用意

タッチパネル式の8.9型ワイド液晶ディスプレイは1280×768ドット表示に対応。輝度は十分確保されている

 冒頭で述べた通り、液晶ディスプレイはサイズが8.9型ワイド、解像度が1280×768ドットだ。画面サイズが小さい割に高解像度なので、ドットピッチは約0.151ミリと細かく、1024×600ドット表示(約0.19ミリピッチ)と比較して、小さな文字は少し読みにくく感じるかもしれない。特にM912Xはタッチパネルを装着していることで、外光の映り込みやコントラストの低下があるため、淡い色の壁紙に白色でファイル名を表示しているときなどは、目を凝らして見る必要があった。

 とはいえ、1280×768ドットの解像度は、一般的な12.1型ワイド液晶搭載のモバイルノートPCや15.4型ワイド液晶の据え置き型ノートPCに採用例が多い、1280×800ドットの解像度とほとんど変わらない感覚で扱える。Webページや標準的な縦長の文書を閲覧する場合など、さまざまなシーンで重宝するはずだ。

 液晶ディスプレイを反転させてタブレットPCとして使う場合、液晶ディスプレイ左上に収納されたスタイラスもしくは指で直接画面に触れて操作できる。タッチパネルの操作性に不満はないが、ソフトウェアキーボードや手書き文字認識の機能は実装されていないため、Webページや文書の閲覧、OSの基本操作といった用途がメインになるだろう。この際、両手で本体を抱えることになるが、側面の通風口を手で覆ってしまわないように注意が必要だ。

液晶ディスプレイの左上にスタイラスが収納されている(写真=左)。液晶ディスプレイを反転させてタブレット形状にした状態(写真=中央)。液晶ディスプレイをそのまま開けば、通常のノートPCとして利用可能だ(写真=右)

日本語キーボードの使い勝手は?

キーボードはEnterとカーソルキー周辺に特殊なキーレイアウトが見られる

 国内販売用の日本語キーボードは、スペースバーが長い一方、Enterキーが小さく、アプリケーション、変換、無変換といったキーが省かれ、Enterやカーソルキーの周辺に特殊なキーレイアウトが散見される。主要キーのキーピッチは16ミリ程度あるが、使いこなすには慣れが求められる。今回入手した機材は、キーボードユニットが少しふらつくのも気になった。キーボードユニットの両脇にはスペースが余っているので、ボディの横幅いっぱいまでキーボードの面積を広げてほしかったところだ。

 タッチパッドは51×40ミリと小さめだが、縦スクロール用の領域もあり、使い勝手は良好だ。キーボードのホームポジション直下ではなく、本体の左右中央にタッチパッドを配置しているが、パッド自体が小さいため、キー入力時に誤って触れてしまうようなミスは少なかった。左右のクリックボタンは一体化したパーツを使っているが、ボタン自体が小さいため、少し押しにくい。

 なお、本体にワンタッチボタンなどは配置しておらず、無線LANのオン/オフや音量の調整はFnキーとファンクションキーの同時押しで行なう。

Atom N270の採用でパフォーマンスは十分

 パフォーマンスに関しては、ベンチマークテストのPCMark05、FF XIベンチ、3DMark06を実行してみたが、Atom N270を搭載したほかのミニノートPCと同程度だった。回転数5400rpmの2.5インチ160GバイトSerial ATA HDDの内蔵により、HDDのテストは好結果だったが、体感上の大きな差はなく、当然ながらYouTubeやニコニコ動画などの動画共有サイトもコマ落ちが気になることなく実用できるレベルにある。

左から、PCMark05、3DMark06、FF XIベンチのテスト結果

 テスト中はシステムに高負荷がかかる状態でも静音性は保たれていた。低めのファンノイズが本体左側面の通風口から聞こえてくるが、大きな風切り音や異音が発生することはなかった。ただし、本体が発熱しやすい点には注意が必要だ。室温25度の部屋で一通りのテストが終わった状態でボディの表面温度を放射温度計で計測したところ、キーボードとパームレストの右手側が42〜44度、底面は43度まで温度が上がっていた。

 バッテリー駆動時間については公称値で約3.5時間とのことだが、液晶ディスプレイの輝度を最大まで上げた状態で、無線LANに接続してWebページをチェックしつつ、文書を作成するなどの操作を行なったところ、2時間弱の駆動が可能だった。持ち運んでメールやWebサイトをざっとチェックする程度であれば問題ないだろうが、現状で大容量バッテリーのオプションなどは用意されていないため、バッテリー駆動で長時間使いたいといったニーズに応えるのは少々厳しそうだ。

やはり液晶ディスプレイをどう評価するかがポイント

 M912XはAtom N270搭載のミニノートPCとしてはハイスペックにまとまっており、通常のコンバーチブル型タブレットPCに近い操作感を実現しているのが特徴だ。とりわけ1280×768ドット表示のタッチパネル式8.9型ワイド液晶ディスプレイは、Netbookの画面が狭いことに不満を抱いていたユーザーに朗報といえる。

 人気の低価格ミニノートPCの中では「HP 2133 Mini-Note PC」も同じ解像度の8.9型ワイド液晶ディスプレイを備えているが、こちらはCPUにVIA C7-M ULVを用いている。VIA C7-M ULVはWebブラウズや一般的な文書作成などの用途ならば問題ないものの、動画コンテンツの視聴には少々物足りない。

 こうして考えると、M912Xはなかなか落としどころがいい製品に思えるが、ネックとなるのはやはり価格だろう。7万9800円という価格は、ほかのAtom N270搭載ミニノートPCより1万5000円〜2万円程度高く、これだけの予算があれば中古で状態がいいモバイルノートPCも含めて、選択の幅がかなり広がってくる。とはいえ、液晶ディスプレイの解像度に余裕がある低価格ミニノートPCを求めていたならば、M912Xは欠かさずチェックすべき1台といえる。

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