ITmedia NEWS >

AVメーカーの誇りを感じさせる1台、最高峰ウォークマン「NW-X1000」レビュー(3/3 ページ)

» 2009年04月30日 08時30分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

 有機ELディスプレイの美しさを実感できるのが動画再生。本製品では、MPEG-4 AVC/H.264とMPEG-4 SP、WMVの再生に対応しており、本体の「VIDEO」フォルダへドラッグ&ドロップするだけで転送が完了する。また、同社デジタルレコーダー「BDZ-A750/A950」の「お出かけ転送」にも対応している。

 画面の輝度も高く、高ビットレートの映像を転送すれば想像以上の画質を楽しめる。再生中の画面に触れると再生/一時停止や早送り/早戻しのアイコンがオーバーレイ表示されるので、操作に戸惑うこともない。

photophoto YouTubeを再生。公式登録アーティストのPVなど高画質でUPされている映像ならば、有機ELディスプレイの魅力を十分に引き出してくれる

 NW-A900シリーズ同様、ワンセグ放送の視聴および録画にも対応しているが、CM部分を自動検知してチャプターを設定する機能も備えており、事実上のCMスキップ視聴が可能になっているのは便利。写真についても動画と同じく、「PICTURE」フォルダへドラッグ&ドロップだけで再生できる。ただ、画面は横位置固定であり、動画/静止画の視聴時には本体を横にする必要があるのは少々気になった。

photophoto ワンセグ視聴画面(写真=左)、録画したワンセグ放送については、自動チャプター分割を施すこともできる

 個人的な話で恐縮だが、音楽も動画もネットもという多機能携帯マルチプレーヤーという製品は“難しい”と思っている。携帯するという前提からして、画面サイズと本体サイズのバランスをどのようにとるかは難しい問題であるし、バッテリーの問題もある。多機能デバイスであるがゆえ、どこにポイントを当てた製品として企画するかが重要なポイントになるわけであり、これまで多くのメーカーが挑戦しながらも、iPod touch(iPhone)ぐらいしかヒット製品がなかったことが、この製品ジャンルの難しさを物語っている。

 さてウォークマンNW-X1000シリーズだが、確かに「最高峰」を目指したというだけあって、実際に試用してみることで、「音質」「操作」「画質」「コンテンツ入手」の4つすべてに特筆すべきものがあることが体感できた。再生中の楽曲からYouTubeを検索したりといった機能はiPod touch(iPhone)にもない機能であり、多機能を誇るだけではなく、、備える機能をどのように組み合わせ、新たな“体験”を提供するかに腐心した形跡がうかがえる。

 ただ、本製品の最も特質すべきポイントは音質の高さだ。多機能とはいえ、携帯し、移動しながら使うデバイスである以上、最も利用頻度の高い機能は音楽再生であり、その部分に最も力が入っていることは、AVメーカーである同社の誇りを感じさせる。

 確かに音楽も動画もワンセグもネットもという多機能携帯プレーヤーに対する需要は確実に存在するであろうし、ウォークマンというシリーズの展開上も必要だろう。ただ、本製品を使えば使うほど、動画再生やワンセグ、ネット機能などを蛇足に思えてしまう瞬間があったことは否めない。ぜひ、本製品の高音質はそのままに、音楽再生に特化した小型軽量の製品をリリースして欲しいと感じた。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.