リコーGR DIGITALシリーズの最新モデル「GR DIGITAL III」が登場した。2007年に発売された「GR DIGITAL II」の後継機にあたり、レンズやCCD、処理エンジン、液晶モニタなどの主要装備を改良している。
ひと目見た印象は従来機とほとんど変わらない。外装は、表面にシボ処理を施したマグネシウム合金製で、グリップ部には手に吸い付くようにフィットするラバーが張られている。無駄な意匠を排除した、シンプルで渋いフルブラックボディはやや味気ないともいえるが、生真面目で質実剛健な雰囲気が漂い、一般的なコンパクトデジカメとは性格が異なることを外観からアピールしている。
ボディサイズは、従来機GR DIGITAL IIに比べて幅と高さ、奥行きがそれぞれわずかにアップし、本体質量は約168グラムから約188グラムへと増加した。これは、レンズや液晶を変更したためだ。新レンズは、これまでのGR DIGITALシリーズと同じく35ミリ換算で28ミリ相当の焦点距離を持つが、開放値がF1.9とより明るくなっている。コンパクトデジカメでここまで明るいレンズは最近では珍しく、薄暗いシーンでも感度を上げずに済むメリットがある。
レンズの描写力は良好だ。色ズレや歪曲などの各種の収差が目立たないように補正され、開放値F1.9でも安心して使用できる。レンズ表面にマルチコーティングを施すことで逆光時のゴースト発生やコントラストの低下も抑えている。また、最短1センチまで近寄れる近接性能も高い。
28ミリ相当という焦点距離については、GR DIGITALおよび銀塩時代のGRシリーズから続くもので、ファンにはお馴染みであり、使いやすいはず。ただ、ふだんズーム付きのコンパクトデジカメに慣れている人には戸惑いもあるだろう。焦点距離を意識せず何気なく構えて撮ると、間延びした構図になりがち。昔から言われるように、広角単焦点レンズを使いこなすには、常に被写体に向かって一歩踏み込んで撮るような感覚が必要だ。
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