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» 2009年09月07日 08時30分 公開

小寺信良の現象試考:今だからこそ再確認したい、議論のしかた (2/3)

[小寺信良,ITmedia]

議論進行のポイント

 上記のような議論を、相手への誹謗中傷、人格攻撃を交えずに行なうためは、お互いがかなり意識して感情的にならないように自分を制御する必要がある。1対1の議論、例えばメールなどでの議論が難しいのは、この点である。

 したがって実際に議論を行なう場合は、双方に利害関係のない、信頼できる第三者に立ち会いや議事進行を依頼することが望ましい。会議と名の付くものにそれを取り仕切る議長が存在するのは、中立の立場で議論の成立させるための監視役が必要だからである。

 また双方の意見のポイントとなる部分は、双方が確認できるところに掲載するといい。ホワイトボードを活用してもいいだろうし、筆者が経験した議論では、白紙のPowerPointに論点をバキバキと入力してプロジェクタに投影するという方法をやっていて、なかなか面白かった。また筆者が議事進行をするときは、FreeMindなどのマインドマップツールを使って、関係性や対立軸を表示していくことが多い。

 意見を掲示する効用としては、自分の意見が文章化されることで、客観的に評価できることである。感情的な発言が掲示されれば、それは良くなかったとして、取り下げることもできるだろう。また主張がシンプルになるという効果もある。人は複雑な問題を複雑なままで処理できないが、「ケタを落とす」ようにある程度概念化できれば、対立軸が明確になり、処理できるようになる。

 さらに意見を簡略化することで、「人の言葉尻をとらえてネチネチ言う」ようなことも起こりにくくなる。議論の場では、「つい言ってしまう」ようなこともあり得るので、それはお互い様ということで水に流せる仕掛けを議論の場に組み込んでおくことは、必要であろう。

 ネットでの議論が難しいのは、現実社会以上に突発的に議論に巻き込まれることが多い点である。しかもそのときに会議場のような「場」に移動するわけではないので、どこからが議論の始まりで議論の終わりなのかがはっきりしない。このデメリットを排除するためには、やはりいったん話の流れをリセットする意味で、「ではここから議論にしましょう」と宣言するとか、新しいスレッドを立てたり、別のツール・サービスへ移動して雰囲気を変えるなどしたほうがいい。またそのときに、議長役を買ってくれる人を立てるのがいいだろう。

 ネットでの議論は、デメリットが多いと感じる人もいるかもしれない。しかしリアルの会議と違い、時間軸に縛られないというメリットもある。例えば怒りなどの感情が先行してうまく説明できない場合は、なぜそう感じたのかが説明できるようになるまで、いったん日を置くなどすることが、ネット上での議論では可能である。ネットではこうなってしまう、のではなく、デメリットを排除してメリットをうまく使えるよう、普段から手段を考えておくといいだろう。

 ここまでのポイントとしては、

  • 議論には議長を立てた方がよい
  • 意見のポイントを双方確認できるところに掲示する
  • ネットでの議論は、成り行きにならないよう場をリセットする

 ということである。

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