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MPEG-2の10倍録画を可能とする符号化技術、日立が展示CEATEC JAPAN 2009

» 2009年10月06日 19時25分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

 日立製作所のブースで大きな面積を占めているのは、薄型テレビ“Wooo”シリーズ。Woooは今年春以降の製品すべてでHDDを搭載しており(→新生“Wooo”はすべてHDD内蔵、3シリーズ新登場)、「録れるテレビ」をアピールしているが、その録画機能を強化する可能性を秘めた技術が参考展示されている。

photo 日立ブース

 「超高圧縮映像符号化技術」と名付けられた技術は、映像を符号化(圧縮)する際に画像サイズを小さくするとともにフレームの一部を間引きして保存し、復号化(復元)する際には、画像サイズの復元と、残っているフレームから間引きされたフレームを動き検索によって推測して補完する。この縮小―間引き―復元―拡大という手法によって、同一のストレージで、MPEG-2の約10倍、H.264比でも3倍という録画時間を実現できる。

photophoto 「超高圧縮映像符号化技術」の概念図(写真=左)、超高圧縮映像符号化技術とMPEG-2の映像を同一ビットレート(2Mbps)で比較した映像。左(MPEG-2)ではフロアのラインや人物にシャギーがでているのが分かる(写真=右)

 復号化する際の拡大処理が超解像とほぼ同等のハードウェア負荷となるほか、符号化自体が独自規格であるため、すぐさま家庭用テレビへ搭載するとはいかないというが、長時間の記録が求められる監視カメラなどへの利用も視野に入れているという。

 もうひとつは動画シーン検索技術。これは番組で流れるテロップを認識してキーワードを抽出、メタデータを生成し、見たいシーンをキーワードから選択して自在に視聴可能とする技術。

photophoto 映像のテロップが「映像に関連するキーワード」として登録される

 映像に映し出される「ワク」などからテロップの領域を抽出し、そこから文字を識別、時間情報とあわせてメタデータとして保存する。これによって「歌番組から好きな歌手だけ」「バラエティから好きな出演者だけ」「野球から任意の打者だけ」といった視聴が可能となる。

 デモでは映像データにメタデータを埋め込むかたちではなく、メタデータはサーバ上で別途管理されているが、これはメタデータの交換といった活用法も考慮してのこと。埋め込み型でも前述したような視聴は可能だ。スタッフロールなど文字量の多い場面からの抽出とメタデータ化は、「ひとつの映像に対するキーワード量が多すぎては使いにくくなるのでは」との判断からあえて実装されていないという。

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