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フルハイビジョン3Dテレビの最新事情CEATEC JAPAN 2009(1/2 ページ)

» 2009年10月07日 11時02分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
photo 幕張メッセで開催中の「CEATEC JAPAN 2009」

 “3D CES”といわれた「2009 International CES」から10カ月。10月6日に幕張メッセで開幕した「CEATEC JAPAN 2009」も“3D CEATEC”といえそうな盛り上がりを見せている。パナソニック、ソニー、シャープは、一般家庭への導入を意識した3Dテレビの試作機を公開。東芝は通常の2D映像からリアルタイムに3D変換を行う技術展示を行い、いずれも長い行列や人垣ができている。

 家庭用のフルハイビジョン3Dシステムを実現するには、従来の倍の情報量を読み出し、伝送できるBlu-rayプレーヤーや高速なインタフェースが必要だ。このうちインタフェース部分は5月に発表された「HDMI 1.4」で対応(→HDMI 1.4が示した“業界の方向性”)。また9月にはBlu-ray Disc Association(BDA)が「3D拡張規格」の概要を明らかにした(→Blu-rayフォーマットが3D対応へ、BDAが発表)。BDAの規格化作業は年内にも終了する見通しで、これにより各メーカーが3Dテレビや対応プレーヤーを市場投入する環境が整うことになる。

3D対応の50V型PDP パナソニック

 昨年のCEATECで103V型の“立体シアター”を公開し、年初のCESでは他社に先駆けて「2010年は3D元年」を打ち出したパナソニック。今回はホームシアターのボリュームゾーンである50V型3Dテレビを参考展示した。

photo パナソニックの50V型3Dテレビ

 120Hz駆動のPDPによるフルHD/60フレームの3D映像という基本部分は昨年の103V型と変わらないが、明るさを維持しながら高速発光を実現する「3D高速駆動技術」により小型化を実現。さらに残光蛍光体や新しい発光制御技術で左右の画像の間に生じる残像(クロストーク)を低減する「二重像低減技術」、アクティブシャッターの同期精度を向上させるメガネなど、3D画面をより見やすくする技術を加えた。

 同社では、3D対応のBDパッケージソフト、およびHDMI 1.4を搭載したBDプレーヤー/レコーダーと時期を合わせる形で3D対応テレビを市場投入する計画。製品化の際にはアクティブシャッターメガネを1セット同梱するという(ただし、3D映像の視聴には対応プレーヤーが別途必要になる)。

photophoto 3D対応のBDプレーヤーと新型アクティブシャッターメガネも合わせて展示

 また、ブースの裏手には2010年秋の発売を目指す「3Dカメラレコーダー」をはじめとするポータブルの3D映像撮影・編集システムを参考展示した。「3D映像は、放送よりもパッケージソフトの展開が先。BDソフトを手がけるプロダクションに向けて、3Dソフトの撮影・オーサリング環境を提供することで市場拡大を目指す」(同社)。

photophoto 2010年秋以降の発売を目指す「3Dカメラレコーダー」(2眼)、「3D編集ポータブルレコーダー」「3D編集モバイルレコーダー」(いずれもデザインモック)。現行の「AVC-Intra」を拡張し、毎秒120枚の映像記録が可能な“AVCULTRA”(ペットネーム)を合わせて提案していく

ゲーム、映画、スポーツをアピール ソニー

 一方、9月の「IFA 2009」で2010年の市場投入を明言したソニーは、40インチの通称“3D BRAVIA”8台を用いて3Dテレビを大々的にアピール。240Hz駆動の液晶パネルを使用する3D BRAVIAは、フルHD/両目60フレーム表示に黒挿入を組み合わせてクロストークを抑えた映像を実現するという。

photophoto ソニーブースは3Dテレビを大々的にアピール。バケットシートやロールバーを備えた“レースゲーム用シート”もあった

 一方のプレーヤーについては、2010年中に同社のBDレコーダー、VAIO、Playstation 3をそれぞれ3Dに対応させる方針。PS3を持つソニーだけに、3Dゲームにも大きくスペースを割いたブース構成になっている。具体的には、「ゲーム」「映画」「スポーツ」という3つのアプリケーションに分け、来場者が実際に体感できるスペースを多く設けた。またメインステージには、バケットシートやロールバーを備えた“レースゲーム用シート”を設置して、3D映像が実現する臨場感をアピールしていた。

 一方、3D映像を撮影する「ハイフレームレート単眼レンズ3Dレンズカメラ」も合わせて展示(→ソニーブースで3D+240fpsの“マンU”を見る)。パナソニック同様、3Dソフトの製作を後押しして市場拡大を目指す。

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