薄型テレビが“1インチ1万円”を目指していたのは、もう過去の話。エコロジーな現代は、“1インチ1ワット”が目標になるのかもしれない。
日立製作所は、「CEATEC JAPAN 2009」の同社ブースで新開発のHCFLバックライトを搭載した「省電力LCDディスプレイ」を展示している。消費電力は32.2ワットと現在の製品より数割は低いレベル。試作機にはチューナー部が搭載されていないが、それを含めても40ワットを切るという。
HCFL(Hot Cathode Fluorescent Lamp:熱陰極管)は、一般的な蛍光灯とほぼ同じ仕組みで、液晶テレビに使われるCCFL(冷陰極管)に比べて高い効率を誇る。これまではフィラメントを小さくするのが難しく、バックライトには採用されていなかったが、今年に入ってソニーが“Eco BRAVIA”こと「V5」シリーズに新開発のHCFLバックライトを採用して注目を集めた(→ソニー、HCFLバックライト搭載の“エコBRAVIA”を国内発表)。
日立のHCFLは、関連会社の日立ライティングがテレビ専用に開発したもの。ソニーとの大きな違いはバックライトの太さだ。日立のHCFLは、約15.5ミリ径とソニーの4ミリより太い。これによって効率のアップと高い出力を実現したという。「一般的な32V型液晶テレビには8〜12本のCCFLが使われているが、この試作機はわずか2本のHCFLでまかなっている」(同社)。画面輝度は350カンデラで、400カンデラ超の利用も確認済み。また光学設計の工夫により、画面ムラなども気にならないレベルになっている。
一方、バックライト自体が太くなるとパネル部の厚さが気になってくるが、同社では「試作機は単にHCFLを入れただけ。実際の製品になったときは10センチを切るだろう。現在の32V型と同レベル」と話している。
製品化のスケジュールは未定だが、コスト面でも「CCFLバックライトと同レベル」という。市場に投入されれば、エコ意識の高い消費者を中心に注目を集めそうだ。
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