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長らく低迷していたミッキー・ロークの完全復活作として注目を浴びたヒューマン・ドラマ「レスラー」が1月15日にBlu-ray Disc化。特典は約40分に及ぶ出演者インタビューと予告篇を収録している。
リングネーム、ザ・ラムことランディ(ミッキー・ローク)は1980年代に全盛期を極めたプロレスラー。20年後の現在、50歳近くになったランディはトレーラーハウスに住み、小さな地方巡業と近所のスーパーのバイトで食いつないでいた。そんな彼の楽しみは、行きつけのクラブでなじみのストリッパー、キャシディ(マリサ・トメイ)に会うこと。
ある日の試合後、長年の無理とステロイドの使用がたたり、心臓発作で倒れ、医者から引退を強いられてしまう。俺からプロレスをとったら何が残るんだろうか。不安と孤独にさいなまれたランディは、今までほったらかしていた一人娘のステファニー(エバン・レイチェル・ウッド)に連絡をとり、レスラー人生で失ったものを取り戻そうとするが……。
過去の栄光に縛られ、老体を引きずり、なおも現役にこだわる中年アスリートの返り咲きムービー。スポーツ映画にはおなじみのテーマだが、ヴェネチア国際映画祭の金獅子賞、ゴールデングローブ賞の男優賞など全世界映画賞54冠に輝けたのは主演がミッキー・ロークだから。
ミッキーといえば1980年代に「ナインハーフ」でセックスシンボルとなり、日本でもウイスキーのCMに起用されるほど大ブレイクしたものの、私生活でのトラブルやボクサーへの転向失敗と、波乱万丈の人生を歩んで俳優としては撃沈。1995年にボクサーの道をあきらめ俳優復帰を目指すが泣かず飛ばず。
しかし細々と映画に出つづけ、本作で数々の賞に輝き完全復活を遂げた。ミッキーの映画人生と、リングにしか生きる場所がないランディの悲哀がリンクし、まるでドキュメンタリー映画を見ているような錯覚に陥り、感動も倍増、自然と涙があふれてくる。顔はボコボコ、違和感を覚えるほどムキムキボディのミッキーだからこそできた役なのだ。
当初、製作会社は知名度の高いニコラス・ケイジを猛プッシュしたが、監督のダーレン・アロノフスキー(「π」「ファウンテン/永遠につづく愛」)はミッキーでなきゃ意味がないと初志貫徹、男気を見せて大正解。ストリッパーを演じたマリサ・トメイは脱ぎっぷりも潔く、手抜きなしの踊りを披露してオスカーにノミネートされた。監督&ミッキー&マリサの“本気”が焼き付けられた秀作、お見逃しなく。
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