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» 2010年04月23日 15時13分 公開

麻倉怜士のデジタル閻魔帳:3Dテレビの“鉄則” プラズマテレビ編 (3/3)

[聞き手:芹澤隆徳,ITmedia]
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――BS11の3D放送「3Dの世界」を録画したBDはいかがでしたか?

麻倉氏:サイド・バイ・サイドの3D映像は、とてもボケ気味ですね。もともと横方向の解像度が1440ピクセルで、さらにそれを半分にして右目用と左目用の映像を放送しているのですから、ともかく情報量が少ない。良くいえばふわっとした感じですが、悪くいうとボケッとした映像です。アナログ放送を3Dにして見ているイメージといえば、分かりやすいかもしれません。

 BS11は、2007年に開局してすぐに「3D立体革命」の放送を始めました。最初の3カ月間は、それを見るためのテレビがまったく市場になかったにも関わらず、放送していたのです。これは、とても素晴らしいことです。

 ここで1つ提案ですが、3D放送には「超解像」技術が1つのソリューションになるのではないでしょうか。放送の帯域幅が決まっている限り、絶対にハーフHDになります。しかし、Jリーグの中継や格闘技など、楽しい3Dコンテンツが今後は増えていきます。ソニーがFIFAワールドカップで撮影する試合もスカパー!HDで放送されます(→関連記事)。見たいモノが放送されるのですから、ハーフHDを超解像で補って見れば良いと思います。パナソニックは、デジタルカメラで超解像技術を使ったデジタルズームを実現しましたよね。あれは“うまいことやった”と思います。3D放送でも、超解像はきっと御利益があると思います。

――いくつかの3D映像を見てきましたが、撮影での注意はありますか?

麻倉氏:そうですね。3D映像の撮影では、注意しなければならないことがいくつもあります。例えば、木の枝がフレームにかかって切れているような映像は、すごく不安定になります。画面の中央は安定しているのに、フレームの外にその延長の物体があると、人間の脳は見えない部分も感じようとして不自然に感じてしまうのです。これを両眼視野闘争といいます。「3Dの世界」にもフラを踊る女性の映像がありましたが、腕を延ばしてフレームから出たときは、かなりの違和感を感じたでしょう?

 これを避けるために、編集時にフチの部分に黒帯を付けるやり方があります。今後は、テレビ側でも何かしらの効果を付けるなどの対策も必要になるかもしれません。

 また、解像度が低いなど、2Dで気になることがある映像は、3Dにすると余計にそれが強調されてしまいます。3Dテレビに映すと、“欠点も立体視”することになります。コンテンツを制作する方は気をつけなければなりません。

 来月はソニーの液晶テレビ“3D BRAVIA”をチェックしましょう。

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麻倉怜士(あさくられいじ)氏 略歴

 1950年生まれ。1973年横浜市立大学卒業。日本経済新聞社、プレジデント社(雑誌「プレジデント」副編集長、雑誌「ノートブックパソコン研究」編集長)を経て、1991年にデジタルメディア評論家として独立。自宅の専用シアタールームに150インチの巨大スクリーンを据え、ソニー「QUALIA 004」やBARCOの3管式「CineMAX」といった数百万円クラスの最高級プロジェクターとソニーと松下電器のBlu-ray Discレコーダーで、日々最新AV機器の映像チェックを行っている、まさに“映像の鬼”。オーディオ機器もフィリップスLHH2000、LINNの CD12、JBLのProject K2/S9500など、世界最高の銘機を愛用している“音質の鬼”でもある。音楽理論も専門分野。

 現在は評論のほかに、映像・ディスプレイ関係者がホットな情報を交わす「日本画質学会」で副会長という大役を任され、さらに津田塾大学の講師(音楽史、音楽理論)まで務めるという“3足のワラジ”生活の中、精力的に活動している。

著作

「ホームシアターの作法」(ソフトバンク新書、2009年)――初心者以上マニア未満のAVファンへ贈る、実用的なホームシアター指南書。

「究極のテレビを創れ!」(技術評論社、2009年)――高画質への闘いを挑んだ技術者を追った「オーディオの作法」(ソフトバンククリエイティブ、2008年)――音楽を楽しむための、よい音と付き合う64の作法

「絶対ハイビジョン主義」(アスキー新書、2008年)――身近になったハイビジョンの世界を堪能しつくすためのバイブル

「やっぱり楽しいオーディオ生活」(アスキー新書、2007年)――「音楽」をさらに感動的に楽しむための、デジタル時代のオーディオ使いこなし術指南書

「松下電器のBlu-rayDisc大戦略」(日経BP社、2006年)──Blu-ray陣営のなかで本家ソニーを上回る製品開発力を見せた松下の製品開発ヒストリーに焦点を当てる

「久夛良木健のプレステ革命」(ワック出版、2003年)──ゲームソフトの将来とデジタルAVの将来像を描く

「ソニーの革命児たち」(IDGジャパン、1998年 アメリカ版、韓国、ポーランド、中国版も)──プレイステーションの開発物語

「ソニーの野望」(IDGジャパン、2000年 韓国版も)──ソニーのネットワーク戦略

「DVD──12センチギガメディアの野望」(オーム社、1996年)──DVDのメディア的、技術的分析

「DVD-RAM革命」(オーム社、1999年)──記録型DVDの未来を述べた

「DVD-RWのすべて」(オーム社、2000年)──互換性重視の記録型DVDの展望

「ハイビジョンプラズマALISの完全研究」(オーム社、2003年)──プラズマ・テレビの開発物語

「DLPのすべて」(ニューメディア社、1999年)──新しいディスプレイデバイスの研究

「眼のつけどころの研究」(ごま書房、1994年)──シャープの鋭い商品開発のドキュメント


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