東芝は、Android版「RZタグラー」を10月上旬に“ver.2”へアップデートする。新たにTwitterクライアントを組み込み、またWebサービス「RZランキング」を立ち上げてオープンなコミュニケーションを可能にするという。開発を指揮した東芝デジタルプロダクツ&サービス社の片岡秀夫氏に話を聞いた。
RZタグラーは、ネットワークを活用してテレビやレコーダーの新しい使い方を提案する「レグザAppsコネクト」の第1弾アプリ。昨年11月にiOS版が登場し、現在はAndroid版やPC版も用意されている。スマートフォンやタブレットをレコーダーなどの無線リモコンとして活用できるほか、タグリストの作成・共有の機能を持つ。
タグリストとは、録画番組にチャプターのような区切り(実際には時間を指定)を付け、コメントを添えてリスト化したもの。録画した番組のタグリストをスマートフォンやタブレットにダウンロードすれば、ネットワークを介してレコーダーを操作し、リストに沿った頭出しが簡単に行える(→関連記事)。
タグリストには制作者の感性が多分に反映され、実用的でユニークなリストが作られている。例えばアニメ作品を中心に活動している著名タグラーの場合、本編とCMを分けるだけではなく、個々のCMまで分割し、それぞれ説明を加えたタグリストを作成している。「アニメの場合、BD化や関連情報などがCMとして入ることが多いので、ファンにとってはCMも大事な情報源なのです」(片岡氏)。
今回のRZタグラー ver.2.0には、多くの強化ポイントがある。
まず、タグリストの利用に必要だったアカウント登録が不要になった。「これまで、登録は無料といっても、面倒な作業がユーザーのハードルになっていたことは確か。今後は、タグリストをダウンロードして使うだけならアカウント登録は不要になります」と片岡氏。また、起動した後に必ず表示されていた「機器選択」画面もスキップできるなど、ユーザーの手間を省く方向で機能強化している。
リモコン画面には、新たに「タグスキップ」ボタンが付き、タグリスト使用時にボタンを押すと、チャプターのように前後のポイントへカンタンに飛べるようになる。録画番組やタグリストのチェックが効率的に行えるという。
従来のRZタグラーには、公開されているタグリストにコメントを付ける「リタグ」機能がある。リタグは、掲示板のスレッドのように同じ番組を見た人同士のコミュニケーションを可能にするものだが、参加者はそのタグリストの利用者に限られてしまう。
RZタグラー ver.2.0では、リタグの代わりにネイティブのTwitterクライアントを実装。スレッドのようにタイムラインを参照できる。「従来はタグごとのコメントしか見られませんでしたが、これで番組ごとにまとめてコメントを参照できます」(片岡氏)。
もちろん、コメントはその人のアカウントで発信されるため、フォロワーを中心にタグリストシェアを知らない人たちの目にも触れることになる。もし彼らが興味を持ち、ツイートのリンクを辿ると、東芝が用意した新しいWebサービス「RZランキング」(後述)の「タグリスト詳細情報」に飛ぶ仕組みだ。
この情報ページにはアプリのダウンロードサイト(Android MarketもしくはApp Store)へのリンクも用意。TwitterとオープンなWebサービスを活用して、ユーザーのすそ野を広げる仕掛けになっている。
「コメントやランキングをきっかけに、タグリストシェアを知らなかった人にも興味を持ってもらえるかもしれない。完全に閉じていたリタグというダンジョンを抜けると、その先に青空が広がっていた、という感じでしょうか」(片岡氏)。
「RZランキング」は、RZタグラーで公開されたデータを集計し、紹介するオープンなWebサービスだ。RZタグラーのメニュー画面からアクセスが可能で、人気の高いタグリストや番組、タグラーのランキングを閲覧できる。
3つのランキングは過去1週間分のアクセス数で集計し、毎週月曜日に更新される。また、ランキングからトップ3だけをピックアップした「今週のベスト3」、前日公開されたタグリストを紹介する「新着タグリスト」、任意のキーワードでタグリストやタグ名を検索できる「タグリスト検索」といったメニューも用意した。
アプリ公開当初は少なかったタグリストだが、10カ月が経過して状況は大きく変わった。自らもタグラーとして活動している片岡氏によると、シリーズもののアニメやドラマ、アーティストごとの頭出しニーズが高い音楽番組などを中心にタグリストは増え続け、中には累計1000以上のタグリストを作成したアクティブな“タグラー”も多い。
このようにタグリストシェアは、タグラーという一般ユーザーの善意と熱意に支えられて広がってきた。しかし、忙しい生活の中で時間を作ってタグを書いても、それが人の役に立っているかを知る機会は少ない。片岡氏は、「ラグラーの方から、自分がどれだけ貢献しているのか分からないといった声も聞く」という。
そこでRZタグラー ver.2.0には、公開したタグリストの数や他のユーザーの評価、利用された回数などをもとにタグラーに16段階のレベルを設定。積極的にタグリストを作り、他ユーザーに喜ばれるほどレベルが上がっていく「ラグラーレベル」システムを設ける。
初心者は「ブルー」の1つ星からスタートし、「グリーン」「ブロンズ」「シルバー」「ゴールド」と上がっていく(それぞれ1つ星〜3つ星がある)。最後は栄誉ある「プラチナタグラー」だ。「タグラープロフィール」にもアイコンとともにタグラーレベルが表示される。
「もちろん名誉だけでは寂しいので、今後は上位者にプレゼントなどのインセンティブも検討していきたいですね」(片岡氏)。
RZタグラーは、ますます便利になりそうだ。
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