USB接続のPCオーディオ機器には、アナログに変換して出力するUSB DACのほかに、デジタルで出力する「USB DDC」というカテゴリもある。
USB DDC(USB-Digital to Digital Converter)とは、ホームオーディオシステムやAVアンプなどでデジタル入力があり、DACは必要ないというPCオーディオユーザー向けの機器だ。それとは別に、音質にこだわる人があえてUSB DDCを選ぶというパターンもあるから面白い。USBのデジタル信号を光/同軸デジタルに変換するにも、それぞれ“なんらかのこだわり”が介在する余地がある──ということなのか、そんな部分もPCオーディオならではの多彩さ、楽しさを表している。
今回視聴する上海問屋のUSB DDC「GoVibe Xvert(DNSB-NAVGOVIBE XVERT)」は、どちらかといえば前者、手軽にPCオーディオをはじめるための製品に当てはまるものだ。4999円(税込み、送料別)と手ごろな価格帯からもそれを物語っているのだが、実際に聴いてみるとどうだろうか。
本機はサンプリング周波数/ビット数は最高で96kHz/24ビットまで対応し、96kHz時のみながらそれを識別できるLEDランプが備わっている。出力も光デジタル/同軸デジタルの両方を用意しつつ、ボディもデザインこそ素っ気ないがしっかりした作りに仕上げてある。
USBケーブルを接続し、デジタル出力を得るというシンプルな機能ゆえ、ボディはかなりコンパクトだ。サイズは45(幅)×84(奥行き)×25(高さ)ミリで、重量は約70グラム。携帯電話、あるいはマウスほどのサイズなので、置き場所に困ることはまずない。Windows 7もMac OSも、USB接続するだけでOS標準ドライバでサウンドデバイスとして認識される。
ではそのサウンドをチェックしよう。今回は、普段リファレンスとして活用するORBのUSB DAC搭載ハイエンドヘッドフォンアンプ「JADE-1」の同軸デジタル入力に接続し、内蔵DDC部(JADE-1に直接USB接続したサウンド)と聴き比べてみた。
(使っているのは一部分ながら)10万円ほどのハイエンド製品に対して、4999円の本機もなかなか健闘しているぞというのが正直な感想だ。解像度感はそれなりに差があるものの、ダイナミックレンジが幅広く、メリハリのよい音が楽しめる。
また、DDパートのみとなる単機能製品ならではの有利さもあるのか、ノイズレベルが比較的抑えられており、音がかなりピュアに感じる。PCオーディオで重要なポイントは第1にスピーカー、第2にDAC、第3にPCの順だと筆者は思っており、DDCはそれほど重要視していなかったのだが、この価格帯でボトルネックとならない「そつのないクオリティ」は、ある意味で賞賛に値する。
自宅にデジタル入力を持つオーディオ機器があり、96kHz/24ビットレベルのハイレゾ音源などとともにPCオーディオも楽しみたい。そんな人は、まずは本機からはじめてみてはいかがだろう。
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