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机の音質特性が分かる? 意外と聴き応えのある振動スピーカー“BuruTta”「BRT-G1」野村ケンジのぶらんにゅ〜AV Review(2/2 ページ)

» 2012年06月27日 12時40分 公開
[野村ケンジ,ITmedia]
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素材による音の違いを楽しむ

 オーディオ製品、とはいっても「BRT-G1」は本格的なものではない。また、これまでの振動スピーカー製品は、構造上もウイークポイントもあってか「安かろう悪かろう」という傾向が強いため、あまり期待せず試聴を始めたのだが、これが意外なほどまともな音を聴かせてくれた。再生周波数帯域は、メーカー公表のデータスペック(20〜2万Hz)ほどの幅広さは感じないものの、音楽として十分に成り立つくらいの幅は持ち合わせている。それにもまして、ボーカルやメイン楽器などの、ヌケのよいのびのびとしたサウンドが魅力。真正面に構えて聴き込む音質ではないが、BGMとしては十分に楽しめる、適度なクオリティーレベルだ。

まずは仕事机で試聴(左)。スピーカーボックスなど、堅めの木材は低音が響かない(右)

 これに調子づいて、いろいろな場所において音を確かめてみたところ、素材や堅さによって音色傾向が思った以上に変化することが分かった。ベストなのは、合板など、ちょっと軟らかめの木材。ただし音が少々濁る傾向があるので、置く場所(端に近くなると音が締まる傾向にある)を微調整したり、場合によってはゴム系のインシュレーターをテーブルとの間に挟むのもいいだろう。スピーカーボックスなど、堅めの木材は低音が響かないためあまり芳しくないようだ。

 次いで良好だったのが、プラスティック系の素材だ。こちらはテーブルなど、なるべく厚手で面積が大きいものがベスト。表面がプラスティック系、中身が集積木材というテーブルでもいい。そういったものを使うと、落ち着きのある、丁寧な再生音になる傾向があった。全くダメなのは、金属の鉄板。キッチンのシンクなどで試してみたが、ビリビリと共振してしまい、音として成り立たない傾向がある。高級オーディオ製品などに使われている、相当厚手の金属板であれば美しい高域を奏でてくれるものの、バランス的にも、素材的にも現実的とはいえないだろう。

 逆に、今回の試聴で興味深かったのは、「BRT-G1」によってデスクなど素材固有の振動音、共鳴音が把握できたことだ。デスクなどに本格オーディオを構築するうえで、インシュレーターの必要性や設置位置の検討など、環境的なファクターのテスト役を果たしてくれる点は、思わぬ恩恵といえる。

 このように「BRT-G1」は、音楽を「流す」というBGM的な使い方には必要十分なクオリティーを持ち合わせている。ポンと置くだけで音楽が楽しめる手軽さや、充電スタンドとしての機能性も含め、利用価値の高い製品だといえよう。

音質評価
解像度感 (粗い−−○−−きめ細かい)
空間表現 (ナロー−○−−−ワイド)
帯域バランス (低域強調−−○−−フラット)
音色傾向 (迫力重視−○−−−質感重視)
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