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「もうフォーマットは気にしない」、DSDネイティブ再生に対応したDACが続々登場秋のヘッドフォン祭2012

» 2012年10月27日 21時32分 公開
[ITmedia]

 PCオーディオ関連機器の中でも性能向上が著しいUSB DAC。「秋のヘッドフォン祭 2012」でも多くの新製品がブースに並んだが、中でもDSDネイティブ再生に対応した製品が複数のメーカーから登場し、注目を集めている。

 DSD(Direct Stream Digital)は、音声信号を1ビットのデジタルパルスの密度で表現するオーディオ方式。SACDに採用されたことでも知られるが、広い周波数帯域、低ノイズ性に加え、比較的ファイルサイズが小さいといった特長もあり、近年は高品位楽曲(ハイレゾ音源)配信のフォーマットとしても普及しはじめている。「ototoy」や「e-onkyo music」といった大手音楽配信サイトが対応し、徐々に音源ファイルも増えてきた。

 

ラトックシステムの「RAL-DSDHA1」は、DSDとPCM 24bit/192kHz対応。価格は7万2000円で11月中旬発売

 ラトックシステムは、10月23日に発表したばかりの「RAL-DSDHA1」を展示した。DSDのダイレクト入力が可能なWolfson「WM8742」を採用したUSB DAC搭載ヘッドフォンアンプだ。

 DoP(DSD Audio over PCM Frames) DSD Standard 1.0に準拠し、PCM伝送のフレームを使ってDSDを送り出す仕組み。このため、再生中にステータス表示LEDを見ると「DSD」と「176.4」(PCMの176.4kHzの意味)の両方が点灯する。伝送時の挙動がPCMの176.4kHzに近いからだという。

 再生ソフトには、Windowsなら「foobar2000」や「HQPlayer」、Macでは「Audirvana Plus」(有料版のみDSD再生に対応)といった定番のハイレゾ対応ソフトで再生できる。Windowsは専用ドライバー(ASIOドライバーでも動作)を導入する必要があるが、Macの場合は標準ドライバーで動作するため、インストール作業は発生しない。

KORGの「DS-DAC-10」は11月中旬発売予定。価格はオープン

 KORGは、11月中旬発売の「DS-DAC-10」を参考展示した。DS-DAC-10は、Cirrus Logicの「CS4398」を搭載。専用ドライバーにより、2.8224MHzおよび5.6448MHzのDSDファイルをASIO経由でPCから転送することでネイティブ再生をサポートする。残念ながらMacでDSDネイティブ再生はできない。

 会場では、DSD音源をPCMに変換するときの定番でもある同社製のフォーマット変換ソフト「AudioGate」を使い、DSDをネイティブ再生して見せた。逆にWAVなどのPCMデータも5.6448MHz/DSDデータに変換して再生できるという。

ティアックブースでは「UD-501」をデモ

 ティアックは、10月17日に発表した「Reference 501シリーズ」の「UD-501」を使ってDSD再生をデモンストレーションしている。UD-501は、ASIO2.1またはDoP方式によるDSDネイティブ再生をサポート。DSD 5.6MHzにくわえ、PCM(WAVなど)も384kHz/32bitまで再生できる。プレーヤーソフト「 TEAC Media Player」もオリジナルで、「シンプルな外観と操作。フォーマットを気にすることなく、PCオーディオが楽しめることが一番のメリット」(同社)と話していた。

Nmodeの「X-DU1」。手書きのPOPがヘッドフォン祭らしくていい

 「Nmode」ブランドの高級オーディオ機器を展開するリリックもDSD 5.6MHz、およびPCMの384kHz/32bitまで対応する単体DAC「X-DU1」を展示していた。背面にはXLRバランス出力、RCA出力などを装備。入力はUSB、同軸/光デジタル。年内の発売を目指しており、価格は9万円を切る程度になるという。

 ほかにも展示機が間に合わなかったという海外ブランドもあり、DSDネイティブ再生対応のUSB DACも製品の幅が広がることが期待される。今後、PCオーディオにおける注目ジャンルになることは間違いない。

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