Bluetooth技術に関連する規格策定や技術認証を行うBluetooth SIG(Bluetooth Special Interest Group)は11月8日、Windows 8がBluetooth 4.0をネイティブサポートしたことを発表した。これにより、Bluetooth 4.0に対応する周辺機器が収集したデータを、Windows 8搭載PCが処理するといった連携機能が強化されるという。
同日、Bluetooth SIGは東京で記者会見を行い、チーフマーケティングオフィサーのスーク・ジャワンダ(Suke Jawanda)氏が、Bluetooth技術の動向や今後の展開について説明した。
まず、ジャワンダ氏はBluetooth対応機器の現状について「Bluetooth対応デバイスの数は90億台を超えた。2012年だけでも20億台のデバイスが出荷される」と述べた。ABIリサーチは、Bluetooth対応機器の出荷台数について、2013年は25億台となり、2017年までには計270億台が出荷されるなど、今後も対応機器は爆発的に増えると予測している。
対応機器増加の一因は、Bluetoothの最新規格“Bluetooth 4.0”の登場だ。これまで、Bluetoothは高品質なストリーミングが行える無線通信技術として、ワイヤレスヘッドセットやPC、スマートフォンなどで採用されることが多かった。
Bluetooth 4.0は消費電力を抑えるLow Energy技術に対応しており、ボタン電池1個程度の電力でもデータの送信が可能となったことで、腕時計やヘルスケア製品といった小型のデバイスにも搭載できるようになった。さらにスマートフォンとの連携によって、リアルタイムでデータを受け取り、閲覧できる環境も整ったという。
続いて、ジャワンダ氏はBluetooth 4.0で実現する家庭における利用シーンを説明。Bluetooth内蔵歯ブラシを使い、子どもの歯磨きを親がチェックするというストーリーを紹介した。歯ブラシにかかる圧力のデータを収集することで、歯磨きをしている時間などの情報を把握できる。
このほか、ゴルフクラブの先端にセンサーを設置し、スイングフォームのチェックをしたり、フィットネスや健康管理にも使えると説明。利用者の体力や健康状況に合わせて、運動量を変化させたり、薬を処方するよう手配もできる。このように、デバイスが利用者に合わせた対応を提案する機能を通じ「本当のスマートライフが実現する」(ジャワンダ氏)という。
低消費電力のBluetooth通信は街中でも活躍する。コンシューマ向けのBluetoothは10〜30メートルまでしか通信できないが、業務用などの強力なアンテナを使用することで、最大で1キロ程度の通信も可能だという。コインパーキングにBluetooth通信に対応したセンサーを組み込むことで、駐車場の空き状況を発信できるようになる。ジャワンダ氏は、走行中の車に付近の駐車場の空き状況を伝えるような仕組みも、近い将来実現可能だと強調した。
ヘッドフォンでも、スマートデバイスでも、ゴルフクラブでも、車でも――さまざまな機器をネットワークで接続し、機器の連携によって“スマート”な生活を実現する。これがBluetooth SIGの目指す世界だという。「すべてのモノをネットワークにつなげること、これが我々の目標だ」とジャワンダ氏は語る。低電力での通信が可能となったBluetooth 4.0は、いつでもどこでもネットワークに接続できる、ユビキタス社会の実現に寄与するだろう。
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