Wi-Fi Allianceは9月20日、無線LAN経由でデバイス同士を直接接続し、動画コンテンツをワイヤレスで伝送する規格「Wi-Fi CERTIFIED Miracast」の対応機器認定を開始した。
Miracastは、Wi-Fi Directの技術を利用し、無線LANを搭載するデバイス同士で、ストリーミングまたはディスプレイのミラーリングによって動画コンテンツを伝送、出力できる技術だ。コンテンツの送信時にはWPA2が自動で有効になるなど、セキュリティも確保する。
同日開催された説明会「メディアブリーフィング 2012 Autumn」では、Wi-Fi Alliance マーケティングディレクターのケリー・デイヴィス フェルナー(Kelly Davis-Felner)氏が、Miracast策定への背景や、今後の展開について説明した。
まずフェルナー氏は、Wi-Fi対応機器の現状について「Wi-Fi対応機器は10億ユニットを超えた。今後は、よりパフォーマンスの高いネットワークも普及するだろう」と述べた。ABIリサーチは、Wi-Fi対応機器の出荷台数について、2014年には20億ユニットに達するなど、今後も対応機器の数が増えるとしたほか、IEEE802.11ac、IEEE802.11ad(60GHz帯を利用する規格)の普及も予測している。
Wi-Fi対応機器の増加は、スマートフォンやタブレットの出荷数の増加によるところが大きい。スマートフォンの普及によって、動画コンテンツを楽しむユーザーが急増しているという。「ただ、コンテンツの視聴は基本的に1つのデバイスで完結してしまうことが多い。複数のデバイスが連携することで、動画コンテンツの楽しみ方はさらに広がるだろう」とフェルナー氏は述べた。
スマートフォンやタブレットの中には、テレビ番組をストリーミング視聴できる機能を備える製品もあるが、多くの場合、同一メーカーのテレビでなければ使えなかったり、専用のアプリケーションが必要だったりする。また、そのような機能を利用するには「ネットワークに関するある程度の知識が必要で、ハードルが高い」(フェルナー氏)という。
Miracastは、Wi-Fi Directなどの既存の技術を利用しているため、特別なアプリケーションを必要とせず、Miracast認定デバイス間ならば、異なるメーカーの製品でも接続できるといった特徴を持つ。機器の接続やコンテンツ伝送の手順を簡素にすることで、多くのユーザーが使えるようにすることが狙いだ。
スマートフォンやタブレットのほか、テレビやノートPC、プロジェクターといった機器も認定対象に入っており、ユーザーは、例えばスマートフォンから大画面のテレビに写真や動画を出力する、プロジェクターとノートPCをワイヤレスで接続してプレゼンテーションをする、といったことが簡単にできるようになる。
認定ラボでは先週から対応機器の認定試験を開始しており、コンシューマー向けの製品としては、LGエレクトロニクスのスマートフォン「Optimus G」や、サムスンのスマートフォン「Galaxy S III」などが認定製品になる予定だ。
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