無線LANの通信速度がいよいよ“ギガビット”クラスに達する。米Broadcomは、2012年1月行われた2012 Internetional CESでIEEE802.11acの新世代無線LAN規格に対応する通信チップファミリーを発表。1月19日、ブロードコムジャパンが国内無線LAN機器ベンダーパートナーのバッファローとともに「802.11ac」対応チップの説明会を行った。
新世代のIEEE802.11ac規格は、1997年登場の第1世代「802.11」(最大2Mbps)、1999年の「802.11b」(最大11Mbps)、2002年末の「802.11a/g」(最大54Mbps)、2007年の「802.11n」(最大600Mbps)より数えて第5世代にあたるとし、同社らは802.11acを「5G WiFi(第5世代Wi-Fi)」という呼称を用いてコンシューマー向け機器に向けた普及推進を図る。
5G WiFiは、2012年現在コンシューマー層に普及する802.11a/b/g/nに対し「より高速(規格上、最大3.6Gbps)」、「より大容量」、「より広範囲」、「より低消費電力」で無線通信を利用できる点を特徴とし、より多くのデバイス、場所で4K2Kクラスの動画再生や高速な無線同期といった、昨今ニーズが特に高まっている大容量コンテンツを伝送する利用シーンに対応する。既存のPCやスマートフォン、携帯ゲーム機以外に、テレビ、リモコン、レコーダー、カメラ、車載機器、家電、ヘルスケア機器、スマートグリッド分野など、家庭の多方面な電子機器への採用が期待される。


(米国における)動画の帯域幅消費量推移の予測と拡充する無線LAN搭載機器(画像=左、中央)「5G WiFiであれば、近い将来普及するであろう4K2Kクラス映像データにも対応可能」と説明するバッファロー海外業務部の中村新氏(画像=右)

802.11acは、ブロードコムらは「5G WiFi(第5世代WiFi)」という分かりやすい名称で普及・認知を推進していくという(画像=左)。無線LAN世代別の登場年と最大通信速度(画像=中央)。5G WiFiの主な特徴(画像=右)「5G WiFi(802.11ac)は802.11比で3〜4倍の速度、6倍の消費電力効率を実現し、より多くのデバイスや場所でより高速に通信でき、より広い範囲で満足のいく速度で通信可能に、さらにモバイル機器はバッテリー動作時間の延長にも寄与する。また、堅牢かつ効率的な無線ネットワークのニーズにも対応できる」(Broadcom ホーム/ワイヤレスネットワーキング事業部シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーのマイケル・ハーストン氏)
Broadcomはまず3ストリームで最大1.3Gbps(規格値は最大1.8Gbps)までの以下4種類の802.11acチップを投入する。「現時点で、想定されるカテゴリのすべてを網羅できる」(ハーストン氏)
| Broadcomの802.11ac(5G WiFi)対応チップ | BCM4360 | BCM4352 | BCM43526 | BCM43516 |
|---|---|---|---|---|
| 対応ストリーム | 3ストリーム | 2ストリーム | 2ストリーム | 1ストリーム |
| 最大速度 | 1.3Gbps | 867Mbps | 867Mbps | 433Mbps |
| インタフェース | PCI Express | PCI Express | USB | USB |
| ビームフォーミング | 対応 | |||
| LDPC符号 | 対応 | |||
| STBC | 対応 | |||
| 想定機器 | 無線LANルータ、アクセスポイント、PCなど | テレビ、AV機器、STBなど | スマートフォン、タブレットなどモバイル機器 | |
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