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アクトビラ、“インターネットで4K/8K配信”に意欲

» 2013年05月22日 23時09分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 VOD(ビデオ・オン・デマンド)サービスを運営するアクトビラは5月22日、報道関係者向けの事業戦略説明会を開催し、今後のサービスロードマップを公開した。これにはHybridcastやHTML 5のサポート、そして4K/8Kコンテンツ配信といった施策も盛り込まれている。

 2012年度は売上高、利益とも過去最高を記録し、初の黒字転換を果たしたアクトビラ。同社の香西卓社長によると、コンシューマー向けのサービスに加え、「B to B展開など新規市場の成長が牽引した」という。

法人向けプラットフォーム事業の例(左)。アクトビラのの香西卓社長

 一方の家庭向けVODサービスも順調に規模を拡大。「アクトビラ ビデオ・フル」対応機は約4500万台となり、コンテンツ数は6万5000本以上(うちカラオケ2万1000曲)。提携コンテンツプロバイダー数は69社と前年よりも9社増えた。会員登録数は72万件で、累計接続台数は2013年5月時点で500万台を達成した。

 2013年度は、対応機器の数を生かしたプラットフォーム事業や法人向けのソリューション分野などで新市場の開拓と多角化を目指す一方、アクトビラサービスの高度化にも取り組む。同日発表したクラウドリモコン機能などスマートフォンやタブレットとの連携機能を拡張するほか、次世代のスマートテレビと目されるHybridcastやHTML 5によるユーザーインタフェースの拡充も検討していく。Hybridcastは放送局主体のサービスだが、DRM(著作編保護技術)など関連機能を提供することでソリューションビジネスの1つに育てる考えだ。

2013年の取り組み(左)。サービス展開のロードマップ(右)

2014年に4K配信実験を

 4K/8Kのコンテンツ配信にも挑戦する。香西氏は、「テレビメーカーとの調整は必要だが、来年には試作機を確保して4K配信の実証実験が行えるようにしたい」と話す。既にKDDIとJ:COM、NTTぷららなどが実験を実施、あるいは計画しているが、「いずれもクローズドなネットワーク。オープンなインターネットでいかに実現するかが課題だ」(同氏)。

 クローズドなネットワークとは、つまり帯域幅を予想しやすいネットワークだ。一方、オープンなインターネットではどこにボトルネックが生じるか分からず、たとえ光回線などでラストワンマイルを高速化しても大容量データをスムーズに伝送できるとは限らない。ハードルの高さはクローズドネットワークよりも数段上といえる。

 そのための技術として検討を進めているのが、H.264の倍近い圧縮効率を誇るH.264/HEVCの採用、回線状況に応じたVBR(バリアブル・ビットレート)による伝送、ストリーミング再生中のキャッシュを含めた「ダウンロード方式の活用」(同氏)など。既に4K/8K普及促進を目指す「次世代放送推進フォーラム」にも参加申し入れを行っており、標準仕様の策定に積極的に関わっていく構えだ。

 「まず4K配信を目指すが、それはゴールではない。われわれは、8Kを配信できるスペックを作ろうとしている」(香西氏)。

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