一般社団法人IPTVフォーラムは3月29日、次世代のテレビにおいて、放送と通信が連携する新しいサービスを可能にする「放送通信連携システム仕様」(ver.1.0)など3つの技術仕様を一般公開した。このうち、テレビ受信機に必要な2つの仕様を合わせ、「ハイブリッドキャスト(Hybridcast)技術仕様 ver.1.0」と呼ぶことも決めた。
Hybridcastは、もともとNHK放送技術研究所が開発を進めてきた放送通信連携サービスの名称で、IPTVフォーラムではこれをベースに標準化を進めてきた。「今回公開した『放送連携システム仕様』と『HTML5ブラウザ仕様』に対応した端末の普及に向け、それを明示的に表す名称が必要と考えた」(IPTVフォーラム)。ただし、Hybridcastはあくまでも技術名称であり、放送サービスなどの名称については別途決められるという。
対応したテレビと放送番組が登場すれば、番組と連動したアプリケーションを画面上で利用できるほか、タブレット端末やスマートフォンをセカンドスクリーンとして操作や情報の取得も行えるようになる(→関連記事)。IPTVフォーラムが公開した技術仕様は以下の3つ。
放送信号に含まれる制御信号(起動、終了など)に基づき、HTML5で記述されたアプリケーションをテレビ画面で動作させるための仕様。システム全体のモデル、アプリケーションの動作・種別、受信機機能などを規定している。
テレビに導入するHTML5対応ブラウザの仕様。HTML5における放送動画の取り扱い方法やAPIの拡張などについて記述している。また、スマートフォンやタブレット端末などのセカンドスクリーン機器上で放送に連動したサービスを行うためのAPIも含む。
放送局と映像配信サービス事業者の間で、番組コンテンツを円滑に利用できるようにするため、メタデータ(番組関連情報)を規定した仕様。メタデータには、タイトルや内容といったコンテンツの基本情報に加え、サービスの利用形態(価格や視聴制限情報、PPVやVoDなどの販売形態など)なども規定している
各仕様書は、IPTVフォーラムのサイトからダウンロードできる。なお、今回は特定の放送番組に連増するアプリケーションの規定に限られているが、今後は放送局を横断して動作するアプリケーションの仕様なども策定する予定だ。
IPTVフォーラムは、通信を活用した新しいテレビサービスの実現に向けて2008年に設立された業界団体。放送局や家電メーカー、通信会社など60社が参加(プラス協賛会員12社)し、技術仕様の標準化を進めてきた。
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