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4K相当の実力は? シャープ「クアトロン プロ」が描く“華麗なる”細密画山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」(2/2 ページ)

» 2013年12月16日 18時07分 公開
[山本浩司,ITmedia]
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“4K相当”の実力をチェック

 実際に4K解像度の静止画像や図版、モノスコープチャートのクサビなどを46型のLC46XL10に映し出してみると、フルHD機に比べて斜め線がより滑らかになり、リアル4Kテレビとほとんど見分けがつかないほどの精細感が得られることが分かった。

左が従来のフルHDパネル、右がクアトロン プロ(クリックで拡大)

 私たちが日常的に楽しんでいるハイビジョン映像も、クアトロン プロならもちろん4K相当の高精細画質が楽しめる。放送やBlu-ray DiscのフルHD映像、DVDのSD映像などが入力されると、XLシリーズのために新開発された「超解像分割駆動エンジン」によって4Kアップコンバート処理され、解像度再構成回路を経てクアトロンパネルに映し出される仕組みとなる。なお、XL10シリーズはHDMI1.4に準拠した4K/24p、4K/30p信号の入力も可能で、これらの場合はエンジン内の4Kアップコンバート回路はパスされることになる。

 XL10シリーズのその他の特長について触れておこう。まず注目すべきはパネル表面に“蛾の目”のように微細な突起を無数に設けて凸凹構造とした「モスアイパネル」が使われていること。このシャープ独自パネルの最大の利点は外光の映り込みが激減がすることだが、従来のノングレアパネルとは違って映像のつや、尖鋭度が失われないのが大きな魅力となる。

モスアイパネルの電子顕微鏡写真(左)と反射率グラフ(右)。写真はいずれもAQUOS XL9発表時のもの

 フルHD機というと音質がプアなテレビだらけだが、本機は違う。画面下部の左右にトラック型(長円形)ミッドレンジドライバーとツィーターを前向きに、本体背面にウーファーを配置した2.1ch構成で、中域の充実した力強い音を聴かせる。ミッドレンジドライバーにトラック型ユニットの振幅特性を改善する「Xバランサー構造」が採用されているほか、スピーカーキャビネットをテレビ本体から独立させていること、スピーカー前面に開口率が高く音ヌケのよいパンチングメタルが取り付けられていることが、本機のスムーズな音の実現に一役買っている。

ツィーター(左)とミッドレンジ(右)。長円形ドライバーの中央に見えるバツ印のようなところに「Xバランサー構造」が使われている

 もう1つ、筆者が注目するのは、THXディスプレイ規格の認証を取得していることだ。4Kモデルなど、シャープの近年の高級機種はこの規格認証を受け続けているが、ユニフォミティ(均一性)や色温度、ホワイトバランスなど、厳格な規格を設けているTHXの認証を得るのは並大抵なことではなく、4Kテレビに比べてより安価なフルHD機ながら、XL10シリーズのテレビとしての基本性能が確かなものだということの証左といっていいだろう。

 そのほか、テレビ放送とインターネット経由で提供される情報を連携させて多彩なサービスが楽しめる「ハイブリットキャスト」やスマートフォン上に映し出されたコンテンツをワイヤレスで受信できるMiracastに対応するほか、USB外付けHDDに録画した番組を配信して、他の部屋のシャープ製液晶テレビやスマートフォンで視聴できる「DLNAサーバー」機能の搭載など、機能面でもXL10シリーズはその最先端を走るテレビと断言できる。

「華麗なるギャツビー ブルーレイ&DVDセット(2枚組)」は、3980円で販売中。販売元はワーナー・ホーム・ビデオ。TM&(c)2013 Warner Bros.Entertainment Inc.All rights reserved.

 本機でさまざまな映画BDを観てみたが、とくに感激したのが「華麗なるギャッツビー」だった。絢爛(けんらん)豪華な映像で鮮烈な印象を残した「ムーラン・ルージュ」を撮ったバズ・ラーマン監督が演出した本作は、「ムーラン・ルージュ」に負けないゴージャスさで彩られている。

 レオナルド・ディカプリオ演じるギャッツビー私邸で行なわれるパーティ・シーン(チャプター3)など、色とりどりのドレスや礼服で着飾った人々の群舞が画面全体を埋めつくし、まさに眼幅と言いたくなるきらびやかさ。LC46XL10は、RED EPICで5K撮影されたこの美しい映像を細密画のごとく情報量豊かに描き上げ、筆者を喜ばせたのである。4K相当の精細度を実現したクアトロン プロの魅力全開のコンテンツといってもいい。

 なお、XL10シリーズには垂直分割駆動をしない通常のフルHD表示モードもある。この場合は4原色表示となり、視野角改善に寄与するMPDもはたらくことになるが、4Kマスタリングされた「華麗なるギャッツビー」のようなBlu-ray映画を楽しむときは、本シリーズの高精細映像の魅力が満喫できる分割駆動モードで楽しみたいと思う。

 1920〜30年代のミュージカル映画のエッセンスと重低音を効かせたモダンなヒップホップを合体させたパーティ音楽も聴きもので、本機の内蔵スピーカーもそれなりにがんばるが、やはりこの高精細映像とバランスさせるなら、画面両サイドに音のよいHi-Fi用スピーカーを置いて楽しむべきだろう。

 46インチといえば、つい数年前までリビングルームの大画面テレビというイメージだったが、狭ベゼルのシンプルなデザインをまとったLC46XL10は、ワンルーム・マンションなどのエンタテインメント・ユースにぴったり。音のよいオーディオシステムを組み合わせて、充実したイエナカ生活を送っていただきたいと思う。

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