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思わず肩で担ぎたくなるBluetoothスピーカー「KMC 3」をブリブリ鳴らしてみた編集Tの気になる一品

» 2014年05月23日 10時10分 公開
[田中宏昌,ITmedia]
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ココが「イイ」
・ワンランク上のサウンドを楽しめる
・電池駆動も可能で持ち運べる
・外部入力端子やUSB給電にも対応
ココが「惜しい」
・ドデカいボディで設置スペースが必要
・約3.5キロとズッシリくる重量
・NFCは非搭載

ラジカセサイズのBluetoothスピーカー

クリプシュ「KMC 3」

 フロンティアファクトリーが扱っている「KMC 3」は、米Klipsh Audio Technologies(クリプシュ)のBluetoothスピーカーだ(Bluetooth 2.1+EDR対応)。Bluetoothスピーカーといっても小型軽量のものではなく、50ミリ径のフルレンジユニットが2基と、133ミリ径のロングスローウーファを搭載した2.1chの大型タイプとなる。勢いサイズも432(幅)×140(奥行き)×183(高さ)ミリと大きめで、重量は約3.5キロと一昔前の“ラジカセサイズ”といえるものだ。とはいえ、天面に取っ手があるので持ち運びは苦にならない。

「KMC 3」の外観。数あるBluetoothスピーカーの中でも、大柄なボディだが取っ手があるので持ち運びは容易に行える。マットなブラックの塗装はつや消しタイプなので落ち着いて見える。ラジカセ風なシルエットから、思わず肩で担ぎたくなってしまうほど
右側面の写真(写真=左)。往時を思い出しながら実際に担いでみた(写真=右)。約3.5キロの重量が肩に食い込むが、取っ手があるので意外と持ちやすい

外部入力端子を備え単一乾電池駆動も可能

 ユニークなのは、給電用のUSB端子1基と3.5ミリの外部入力端子(ステレオミニ)を備え、天面にスマートフォンなどを置けるスペースを用意していることだ。設置スペースは165(幅)×85(奥行き)ミリあるので5型クラスのスマホが楽に置ける。この部分にラバーシートが敷かれているのも心憎い。ほこりがつきやすいものの、小物置き場としても利用できる。

 USBの給電は本体の電源がオフでも問題なく行える。本体には「5V 1A CHARGE ONLY」との印字があり、iPhoneなどスマートフォンを充電しながら音楽を楽しめる。また、8本の単一乾電池を内蔵すれば、デフォルトボリューム時で約26時間、最大ボリューム時で約8時間のバッテリー駆動に対応しているのもうれしい。

背面右側に3.5ミリ径の外部入力端子を備えるので、Bluetooth非対応のプレーヤーも接続可能だ(写真=左)。また、ケーブルは付属しないがUSB給電にも対応する。小物置きとしても使えるくぼみが天面にある(写真=中央)。底面に単一乾電池を8本内蔵でき、電池駆動にも対応している(写真=右)

apt-XとAACをサポート

 NFCを内蔵していないのは残念だが、対応するBluetoothプロファイルはA2DPとAVRCPで、apt-XとAACのコーデックをサポートする。天面にあるタッチセンサーのボタンを3秒ほど長押しするとペアリングが行える。ペアリング機器の情報はスピーカー側で複数台保存可能で、最後にペアリングをした機器を探して接続する。

 背面に3.5ミリのステレオミニ入力端子を備えているので、CDプレーヤーなどの外部再生機器を接続できる。外部入力端子を経由して音楽を再生しているときも、Bluetooth接続のサウンドは維持されており、リモコンのボタンか天面にある音量調整ボタンの「+」と「−」の同時押しでソースを切り替えられる。ただ、外部入力はBluetooth接続に比べて音量が小さめなので、切り替えて利用する際は音量調節が必要だ。

インジケーターは天面にある。タッチセンサタイプでボタンにクリック感はなく、ソースを示すランプも用意されていない

5色のカラーバリエーションを展開

 今回試したのはマットなブラックの外観だったが、ホワイトのほか、レッドやブルー、パープルと計5色のカラーバリエーションを用意する(ブラックとホワイト以外は直販のみの取り扱い)。いずれのモデルも、前面のスピーカー部と天面の設置スペースはブラックだが、その他の部分は色違いになる。中でもパープルはBluetoothスピーカーとしてなかなか見られないカラーリングだろう。

左からブルー、パープル、レッド、ホワイト。ブラックとホワイト以外は直販でのみ購入が可能だ

小型の赤外線リモコンが付属、ACアダプタはやや大きめ

小型の赤外線リモコンが付属する

 付属品は小型の赤外線リモコンと3.5ミリのラインケーブル(約103センチ)、ACアダプタと2ピンの電源ケーブルだ。リモコンのサイズは40(幅)×86(厚さ)×6(奥行き)ミリ、重量はボタン電池(CR2025)込みで約17グラムと軽量だ。

 機能は電源のオン/オフ、音量の上げ/下げと消音、曲送り(長押しで早送り)と戻し(長押しで早戻し)、Bluetooth/ライン入力の切り替えとシンプルだが、意外と重宝する。

 一方のACアダプタはサイズが122(幅)×52(奥行き)×32(厚さ)ミリで重量は約265グラムと大きめだ。約180センチとやや長めの電源ケーブルは2ピンタイプで、ACアダプタ接続時の重量は約360グラムとかさばる。

付属品の一覧。この他に簡易マニュアルが付属する。ACアダプタはケーブル部分が約145センチと長く、電源コンセントから離れた場所での利用にも対応可能だ

長時間でも聞き疲れしないバランスのよいサウンド

 それでは、どのようなサウンドを楽しめるのだろうか。ソニーのウォークマン「NW-F887」とBluetooth接続して、さまざまなジャンルの音楽を再生してみた。

 一聴して分かるのは、分離のよい音でそれぞれの楽器やボーカルなどの音が個々に分かれて聞こえることだ。音の境界がくっきりとしており、特に低音がはっきり出ている。例えば、2013年に話題となった大友良英「あまちゃん オープニングテーマ」では、音数の多いビッグバンドの曲も余裕を持って再生でき、金管楽器の伸びも心地よい。

 クラシックやジャズの大所帯ものも同様で、合唱ものでは冨田勲「青い地球は誰のもの」(イーハトーヴ交響曲より)も音場の広さを感じさせてくれる。単なるBluetoothスピーカーの音ではなく、据え置きコンポに匹敵していると言えるだろう。

 ロックでは、何と言ってもベースの切れが頼もしい。Yesではクリス・スクワイアが、The Whoならジョン・エントウィッスルが、中期King Crimsonならジョン・ウェットンがこれでもかと押し出てくる。T.Rexならグラムロックの妖艶さ、The Kinksなら金管の頼りなさから荒ぶるギターまで明確に表現してくれる。神聖かまってちゃんなら、マイナーとメジャーという録音時期の差が如実に分かっておもしろい。

 宇多田ヒカルのハイレゾ化された「First Love」も破綻なく気持ちよく再生してくれるし、たむらぱんのようなウォームな楽曲も雰囲気を崩さず表現してくれる。加えて、80年代歌謡曲も裏に隠れがちなメロディが前面に出て顔がほころぶほどだ。ただ、Pefumeやきゃりーぱみゅぱみゅのような楽曲(「もったいないとらんど」など)では、ちょっと耳障りに感じてしまう場面もあった。

 特定帯域の誇張も大げさではなく、全体的なバランスのよさは特筆に値する。いわゆるディスコ関連のサウンドも良好で、正面で聞くとボーカルがスピーカーの上方に定位するし、隣の部屋に離れても音がやせることなく、外に持ち出してワイワイと楽しむ時も威力を発揮してくれるだろう。テレビドラマのせりふも聞き取りやすく、映画のせりふや劇伴もスケール感を損なわずに堪能できる

まとめ:音楽ジャンルも利用場所も選ばない万能選手

 姉妹機には、バッテリーを内蔵したポータブルタイプの「KMC1」や「GiG」もあるが、本製品の持ち味はそのサイズを生かしたスケールの大きな音と豊かな低音にある。スピーカー側に余分なサウンドモードを持たず、肩肘張らずに高品質なサウンドを楽しめるのが何より楽しい。

 同社のKMC1やGiGとは違ってNFCを内蔵していないのは少々残念なところだが、据え置きコンポ以上のサウンドを気軽に持ち運びできるのはうれしいところ。電源ケーブルも長く、部屋から持ち出してベランダで楽しんだり、いざとなれば乾電池駆動でキャンプやバーベキューといった場でもグレードアップした音を満喫できるのは、本製品ならではのメリットに挙げられるだろう。

 価格は4万800円(税別)と安くはないが、部屋でもリビングでもベランダでもアウトドアでも楽しめるオールラウンダーなBluetoothスピーカーを探しているのであれば、魅力的な選択肢と言えそうだ。

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