同社によると、受信した映像と音声には一切手を加えず、H265/HEVCでエンコードされた4K/60p(YCbCr 4:2:0)をそのまま伝送するという。データ量は約35Mbpsのため、RFは256QAM(変調方式)を使えば従来のHD放送1チャンネル分の帯域幅(6MHz)で伝送できるが、一方でIP方式はエラー訂正などのオーバーヘッドを含めると45Mbps前後となり、現在のDOCSIS 3.0(ケーブルモデム方式)では容量が不足する。このため複数の回線を束ねて容量を増やすチャンネルボンディングで対応した。
発表会場では実際にRF経由で受信した4K試験放送をHDMI経由で4Kテレビに表示して見せた。受信用のSTBは、パナソニック製とヒューマックス製の2種類。パナソニックはRF方式専用だが、ヒューマックスはRF/IPの両方に対応したモデルだという。またパナソニック製STBにはDLNA(ネットワーク)を拡張して4K出力する機能を搭載しており、この場合はテレビ内蔵のHEVCデコーダーを使用することでトータルのシステムコストを抑えられる可能性もある。
「将来的にSTBでデコードするか、既存のもの(テレビ内蔵デコーダー)を活用するか決めたい。トライアルの中では両方を検証していく」(同社技術企画本部端末技術部の上園一知マネージャー)。なお、どちらのSTBも開発中のもので、一般ユーザーが入手する方法はない。
説明会の席上、同社はVODでも4K配信トライアルを実施する計画を明らかにした。こちらもRF方式の「J:COMオンデマンド」とIP方式の「milplus」の2本立て。milplusはJ:COM系列局以外をメインにプラットフォームを提供するビジネスモデルのため、4K放送と同様に全国のCATV局へ広がる可能性が高い。
トライアルの開始時期については「早ければ今年の夏くらいには始めたい」という同社。しかし、商用化の時期については慎重だ。「環境が整えばできるが、技術開発が必要だ。そのためのあってトライアルを早めに行うことを決めた。もう1つ、商用サービスを行うにはコンテンツが10本や20本ではいけない。コンテンツと技術開発の両面を見ながら、なるべく早期に実現させるつもりだ」(田口氏)。
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