クリプトンは、同社が運営する楽曲配信サイト「HQMストア」において、ハイレゾ音源配信とては国内初となるクラウド型サービス「HQMクラウド」を7月末日に開始する。HQMストアの5周年を記念したサービスで、iPhoneやiPadなどiOS端末に特化している点も特徴だ。
HQMストアでは、これまでFLACを標準的に使用していたが、HQMクラウドでは新たにALAC(Apple LossLess)の48kHz/24bitまたは44.1kHz/24bitの楽曲ファイルを提供。iOS端末の内蔵DACで再生できる上限に設定し、専用アプリ「HQM Store Cloud Player」で音源購入から再生までを一貫して行えるようにした。
ファイル容量が大きいためサーバからのストリーミング再生には対応しないが、その代わりiOS端末のメモリ容量が足りなくなったときは、手元の音源ファイルを「遠慮なく削除していい」という。一度購入した楽曲は、必要に応じて専用サーバから何度でもダウンロードが可能(上限なし)。つまり、必要なときだけ端末の内蔵メモリに音源をキャッシュ(一時保存)するという発想だ。
「48kHz/24bitとはいえ、1曲あたりのファイル容量は500Mバイト以上。容量の大きいハイレゾ音源を内蔵メモリに常時保存しておくのは限界がある。またPCと同期をとる従来のやり方では、楽曲の受け渡しにも必ずPCが介在するため、操作性に優れたiOS端末だけで完結することができなかった」(同社)。
サービス開始時の配信タイトルは、カメラータ・トウキョウとマイスター・ミュージックが提供するクラシックで、240タイトル前後を予定している。販売価格は60分程度のアルバムで1800円から(税込)。なお、HQMクラウド用のALACファイルは両レーベルが販売しているハイレゾ音源をクリプトン社内でダウンコンバートしたものとなる。
専用アプリ「HQM Store Cloud Player」は、サービス開始を記念して当面の間は無料で提供される。通常の音楽プレーヤーとしても利用可能で、対応フォーマットはALAC、FLAC、AAC、MP3。またiOS端末の音楽再生アプリ「Music」の音楽データやプレイリストの再生にも対応し、その場合はWAVやAIFFも再生できる。さらにiOS端末に外部USB-DACを接続すれば、最大192kHz/24bitまでのWAV/FLAC再生(データ送出)が可能になるという。
機能面では、一般的なプレイリストはもちろん、音楽を再生しながら次に聴きたい曲を追加していける「テンポラリー(一時)・プレイ・リスト」機能、音楽を再生しながらHQM Store 上のブックレットやライナーノートなどを読める「ブック・リーダー」機能もある。Retinaディスプレイ搭載端末でリーダー機能を使えば、印刷物と同等のクオリティーで楽しめるという。
同社では、「現在のハイレゾ再生はPC環境がメインだ。しかし、そこにとどまらず、多くの人が使っているiOS端末へもハイレゾ音源の楽しみ方を拡大したい」と話している。
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