「アンプには、電圧増幅とスピーカードライブという2つの役割があるが、それを分業したのがプリアンプとパワーアンプ。さらにパワーアンプをドライブに専念させるため、ドライブステージのゲイン0dB化を目指したいと考えていた。そんな時にヘッドフォンアンプの企画が持ち上がり、図らずもチャンスが巡ってきた」と澤田氏。
ヘッドフォンアンプの場合、ゲインは10〜20dBあれば良く、パワーもミリワットオーダーと小さいため、大規模な回路は必要ない。そこで、電流帰還型の電圧増幅段と無帰還型出力バッファーアンプによる出力段の二段構えとして、「Hi-Fiアンプの究極の姿を入れ込もうと考えた」(同氏)。
バッファーアンプはヘッドフォンの駆動に専念し、同時にドライバーからの逆起電力の影響を排除する。「並外れた駆動力」を手に入れたHD-DAC1は、ヘッドフォンの感度やインピーダンス特性にかかわらず、ゆとりをもってドライブできるようになったという。「思わず息を飲むようなディティールの緻密さに加え、サウンドステージの広さ、奥行き、高さにいたるまで正確に再現する」(同氏)。
ヘッドフォンは、インピーダンスが20オームから600オームまで幅広くカバー。ゲインはHigh、Mid、Lowの3段階で切り替えられる。
一方で、最近のトレンドでもあるヘッドフォンのバランス出力端子は設けていない。バランス駆動にするには、この回路が2組必要となり、デスクトップ向けのサイズには収まらないと判断したためだ。もちろん一般的な回路構成でトレンドにのるという選択肢もあったはずだが、澤田氏はそう判断しなかった。
「私たちが作りたかったアンプだ。たとえシングルエンドでも実現したかった」(澤田氏)。
入力端子は豊富だ。PC接続用のUSB-B入力のほか、フロントパネルにはiPhone/iPadのデジタル接続が可能なUSB-A端子を装備。さらにリアパネルには最大192kHz/24bitのPCM信号入力に対応した同軸デジタルを1系統、光デジタルを2系統備えた。CDプレーヤーやネットワークプレーヤーなどのデジタル機器を接続すれば、HD--DAC1のDACとアナログ出力回路を通した高品位再生が可能になる。
ヘッドフォン出力以外のアナログ音声出力は、背面に2系統を装備。片方はボリューム固定で、プリメインアンプに接続することで同機を外部DACとして利用できる。一方の可変出力は、パワーアンプやアクティブスピーカーに接続する際に使用する。なお、アナログの音声出力には真ちゅう削り出しのピンジャックを採用し、金メッキを施している。
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