3月20日は「電卓の日」――その日を前に、再び樫尾俊雄発明記念館(東京・成城学園前)を訪れた。今回の目的は、何と言っても電卓のあんな話やこんな話を聞くこと。
カシオに入社して以来20数年(ここナイショ)開発に携わってきた大平啓喜氏がレクチャー役を務めてくれた。
まずはディスプレイのすぐ下を見てほしい。「F CUT UP 5/4」や「4 3 2 1 0 ADD」というスライダーがあるのが分かるだろう(ただし安価な電卓にはないものが多い)。
「計算結果が、わけの分からないものになっちゃうから、わたしもあまり触らないんですよね」と大平氏。もちろん本当に分かっていないわけではない。何せ開発に20数年携わってきたのだから。
この機構はそれぞれ「ラウンドセレクター」(前掲写真=左)と「小数点セレクター」(前掲写真=右)と呼ばれるもの。ラウンドセレクターのツマミ部分を「F」位置に合わせれば、たとえ割り切れなくてもディスプレイいっぱいまで小数点以下の桁を表示する。
「CUT」は切り捨て、「UP」は切り上げ、「5/4」は四捨五入である。ただし、これら3つは小数点セレクターと組み合わせて使う。
小数点セレクターは、計算結果の小数点以下何桁まで表示するかを設定するものだ。例えば1を6で割った場合、「0.16666666……」と続くが、小数点セレクターを「1」の位置に合わせておいたうえでラウンドセレクターをCUTの位置に合わせておけば、ディスプレイに表示されるのは「0.1」に、UPの位置なら「0.2」と表示される。これを「2」の位置、「3」の位置と変えていくとそれぞれ「0.16」「0.17」、「0.166」「0.167」となる。5/4の位置なら表示桁数からあふれている桁にある数値を四捨五入する。
ちなみに、小数点セレクターの「ADD」は外国の貨幣を計算する際便利なように、常に小数点以下2位まで表示させる設定をするものだ。
例えば「2」「×」と入力した後、「×」ボタンを押したことを忘れて再度押してしまったとき、ディスプレイに「K」という文字が表示されるのを見たことはないだろうか。この状態で「=」ボタンを押せば、押した数だけ2が乗算されていく。これは2を定数に設定したからだ、とのこと。“定”められた数を計算するのに便利な機能で、「1」「+」「+」と入力して1を定数に設定した後「=」を押していけば、1が加算されていくので、電卓をカウンター代わりにも使えると大平氏。
もっと実用的な(失敬!)使い方はカシオの実用的な定数計算の使い方に掲載されているので、ぜひ参考にしてほしい。
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