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フジテレビと「NETFLIX」、オリジナルコンテンツの制作で合意――第1弾は「テラスハウス」と新ドラマ「アンダーウェア」

» 2015年06月17日 16時38分 公開
[芹澤隆徳ITmedia]

 フジテレビは6月17日、米Netflix,Incが運営する動画配信サービス「NETFLIX」に向けてオリジナルコンテンツを制作・供給すると発表した。第1弾として、「テラスハウス」の新作「TERRACE HOUSE NEW SEASON COMING」(仮)と連続ドラマ「アンダーウェア」(英語タイトル:Atelier)を制作。放送に先駆け、「NETFLIX」の日本向けサービス開始と同時に独占配信する。

フジテレビの大多亮常務(左)と米Netflix,IncのGreg Peters(グレッグ・ピーターズ)社長(右)

 「NETFLIX」は、世界50カ国に6200万人の会員を持つ世界最大の動画配信サービス。毎月決まった金額を支払うと映画やドラマなどが見放題となるサブスクリプション型で、料金は月額8.99ドル(国内では未定)。北米市場では、プライムタイム(夕方から夜にかけての時間)におけるインターネットトラフィックのうち、ダウンロードの35%をNetflixが占めるといわれる巨大プラットフォームだ。

 今回の発表の背景についてフジテレビの大多亮常務は、「Netflixはコンテンツに対する愛情が深い。もう1つは若年層を中心にユーザーを広げていく戦略を持っており、フジテレビと親和性が高いと感じた」と説明する。一方、来日したNetflixのグレッグ・ピーターズ氏は、「フジテレビは素晴らしいクリエイターであり、素晴らしい視聴者を抱えている。それ以上に未来のテレビに向けたビジョン、革新的なことに挑戦していこうとするチャレンジャー精神に感銘を受けた」と話している。

 テラスハウスは、2012年10月から2014年9月にかけてフジテレビ系列で放送されたリアリティーショー。シェアハウスに暮らす男女6人の生活を台本なしでストレートに描き、10〜20台の若者を中心に人気を得た。NETFLIXで配信するのは完全新作で、住人も代わる。大多氏によると、本日13時から同社Webサイトで「全世界に向け」募集を開始したという。「全く新しいテラスハウスが見られると思う」(大多氏)。


テラスハウスの新作「TERRACE HOUSE NEW SEASON COMING」(仮)の予告。全18話を予定している

 一方の「アンダーウェア」は、華やかなランジェリー業界を舞台にした連続ドラマ。主人公の繭子が銀座の高級下着メーカーに就職し、戸惑いながらも奮闘、成長していく姿を描く「お仕事系青春小説ドラマ」だ。「NETFLIXを見て、若い女性が元気にになるとうれしい」(大多氏)。また今後の話として、もう1つジャンルの異なる企画も準備中だという。「皆さんが『えっ、そうきたか』と思うような企画だ」。

「アンダーウェア」の予告イメージ

 いずれも製作はフジテレビで、国内では「NETFLIX」独占先行配信を行った後、地上波やBS/CS、「FOD・フジテレビオンデマンド」などフジテレビの各ウインドウに展開する。また世界配信も積極的に進める方針で、その場合は「NETFLIX」のロゴに続き、「Fuji Television presents」のクレジットが入るという。著作権はフジテレビに帰属する。


 質疑応答で「テレビ離れを加速する恐れはないか」と質問を受けた大多氏は、「懸念はある。しかしこのようなことをしないと、さらにテレビ離れは進むだろう。大事なのは、(ネットであっても)テレビ局が作ったコンテンツに触れてもらうこと。(今回の協業は)とても前向きに捉えている」という。また、Netflixがハリウッドスタジオと協業した「ハウス・オブ・カード」を例に挙げ、「インパクトが大きかった」と話す大多氏。「世界に通用する、それなりの制作費をかけたコンテンツを一緒に作る。そんな場面を思い描いたことが大きい。今後はわれわれの方から提案し、そうしたコンテンツを彼らと一緒に作っていきたい」。

 一方、NETFLIXは地上波の発達した日本市場にどう食い込む方針なのか。質問を受けたグレッグ氏は、「視聴者はテレビを無料で見ることに慣れている。テレビと同じくらいクオリティーの高いコンテンツを提供することが大事だ。素晴らしいコンテンツをみたい人はお金を払うという確信がある」と自信をみせた。ただし、国内でのサービス開始日や料金については、「日本のマーケットをリサーチ中。まだ言える段階ではない」とするにとどめた。

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