スカパーJSATは7月30日、決算説明会で有料多チャンネル事業において生中継や4K配信などを軸に契約者・視聴料増を目指す方針であると発表した。同社は3月1日に世界初の商用4K放送として「4K総合」「4K映画」の2チャンネルをスタートしており、NexTV-Fによる4K試験放送「Channel 4K」と合わせ、124/128度CS放送「スカパー!プレミアムサービス」で3つの4K専門チャンネルを提供している。
同社の高田真治社長は「家電量販店と共に4Kテレビ・コンテンツの販売促進を進めてきた。今後も4Kコンテンツのラインアップを強化していく」と説明する。これまで、Mr.Childrenやポール・マッカートニーなどのライブや、ハリウッド作品の4K配信をしてきたが、8月以降はオリジナル連続ドラマ「アカギ」(原作・福本伸行)や、FUJI ROCK FESTIVAL '15、映画「メン・イン・ブラック2」「タクシードライバー」などもラインアップに加えていく。
高田社長は「動画配信事業者にはない放送の強みを生かす」と話し、海外サッカーや音楽ライブなどの生中継コンテンツも引き続き拡充すると語った。同社の2015年度第1四半期の決算は、標準画質サービス終了の影響により前年同四半期比で減収減益だったが、新規・再加入件数は前年同期の13万1272件から15万1890件に増加。差別化施策やプロモーション、割引キャンペーンなどが後押しした形だ。
7月23日に総務省が開催した、「4K/8Kロードマップに関するフォローアップ会合」第6回についても改めて発表した。2020年の東京オリンピック・パラリンピックを4K/8Kで放送することを目指している。
2017年は従来の右旋ではなく、110度CS左旋を使った4K試験放送を開始する。現在のBSや110度CS放送では右旋が使われていたが、新たに左旋用トランスポンダを搭載した衛星を打ち上げることで、同じ周波数を2倍利用できるという。
2018年にはBS右旋、110度左旋で4K実用放送を、BS左旋で4K/8K実用放送を開始し、2020年にはトランスポンダの追加割り当てを行い、実用放送の拡充を図る。高田社長は「左旋は対応テレビ・受信機のほかに新しくアンテナが必要になるので、受信環境の整備も必要。ゼロからのスタートになる」と説明。2025年にはBS左旋と110度CS左旋が主要な伝送路になっていくという。
この秋に国内上陸予定の定額制オンライン動画サービス「NETFLIX」についても言及した。Netflixは4Kコンテンツを強化することを明言しており、スカパー!にとっても大きな脅威となりうるが、高田社長は「もちろん影響はあるが、4K/8Kの動きが進んでいくと考えると我々にとっても追い風になる」と話す。
「放送局の編成都合で作成される国内ドラマの常識にとらわれないコンテンツ制作をしている海外発のサービスなので、コンテンツ制作という面ではガラパゴス化していた日本にとってプラスに働くこともあるだろう」と前向きだ。
だが、4Kを主軸に据えるスカパー!は、Netflixを始めとする4K配信サービスと限られた市場で競争しなければならない。生放送など独自の武器を手に、黒船に対抗していくことになりそうだ。
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