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» 2016年02月05日 12時42分 公開

野村ケンジのぶらんにゅ〜AV Review:とてつもなくピュアな「ETHER」、歌声が魅力の「ETHER C」――MrSpeakersのヘッドフォンを聴き比べ (2/2)

[野村ケンジ,ITmedia]
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とてつもなくダイレクトで、とてつもなくピュア――「ETHER」

 お待ちかね、肝心のサウンドはいかがなものだろう。一緒にオプションのバランス接続ケーブルを借用できたので、ヘッドフォンアンプとしてOPPO Digitalの「HA-1」を使用し、アンバランス、バランスそれぞれの音を確認してみた。

開放型の「ETHER」
オプションのバランス接続ケーブル

 まずは開放型の「ETHER」から。一聴してビックリ。とてつもなくダイレクトで、とてつもなくピュアなサウンド。どんな楽器の音も、素直に、ストレートに再現してくれるのだ。おかげで、これまでに感じたことのないくらい、アーティストが近距離に感じる。ボーカルなどは、耳元(というか頭の中で)ささやかれているかのよう。

 バランス接続にすると、その印象がさらに高まる。よりピュアさが増し、全くといっていいほど歪み感のない、カラーレーションもない無色透明なサウンドに生まれ変わってくれるので、ライブ音源などは、まさに“会場に自分もいるかのよう”な演奏を楽しませてくれる。逆に、歪み感のなさ、音のピュアさにより、定位感がしっかりしすぎてしまい、“左右からスピーカーに挟まれている”ヘッドフォンならではのレイアウトを意識せざるを得ない状況になる。左右移動が早すぎて、思わずドライバーユニットを耳から外して目の前に置きたくなる。いやはや、素晴らしいリアリティーだ。

ヘッドバンドにブランドロゴ

 ちなみに、「ETHER」は意外となりっぷりが良かったので、試しに(オプションの2.5mm4極端子ケーブルを使い)ハイレゾ対応プレーヤー「AK380」に接続。本体出力ではピークやディップが目立つバランスを欠いた音になってしまう傾向にあったが、“合体”アンプを使うとウェルバランスなサウンドを聴くことができた。駆動力の高い素直なサウンドのポタアン等を活用すれば、ポータブルシステムでも活用できそうだ。

オプションの2.5mm4極端子ケーブル

ボーカルに強い実体感――「ETHER C」

 一方の密閉型の「ETHER C」は、基本的な音質傾向は同じながらも、鳴りっぷりをかなり抑えめにすることで開放型に負けない歪み感の少なさを実現しているといったイメージ。特に低域の量感が控えめな傾向にある。そのためか、アンバランス(一般的なステレオ接続)よりもバランス接続のほうが断然相性が良く、よりピュアな音色を聴かせてくれる。

密閉型の「ETHER C」

 しかしながら、聴き込むにつれ、「ETHER C」の持つ魅力に、徐々に心を奪われていくことになる。両モデルともに基礎体力の高さは素晴らしいものだが、2者で比較すると、ダイナミックレンジの幅広さや音数の多さにおいて「ETHER」のほうが勝るし、加えて「ETHER C」では、カーボン製ハウジングの音色がほんのわずかだが音色に乗ってくる。

耳をすっぽり包むアラウンドイヤー型イヤーパッド

 しかしながら、それも含めて「ETHER C」はとてつもなく繊細なニュアンス表現を得意とし、同時に、他に類のない濃密で粘りのある音色を楽しむことができるのだ。特に女性ボーカルは、ブレスが切れることなく歌いつづけてくれるし、ボーカリストそれぞれの個性をしっかりと表現してくれる。なによりもその声が強い実体感を持ち合わせている。こんなに魅力的な歌声を楽しめるヘッドフォンは、そうそうない。

 開放型「ETHER」のとてつもなくピュアなサウンドも魅力だが、個人的には「ETHER C」の聴かせ上手、歌わせ上手なところが大いにひかれた。2015年は高級ヘッドフォンの当たり年だったが、まさか最後の最後でこんな素晴らしいモデルが登場していたとは。ヘッドフォン好きにとっては、うれしい悲鳴となりそうだ。

音質評価 MrSpeakers「ETHER」
解像度感 (粗い−−−−○きめ細かい)
空間表現 (ナロー−−−○−ワイド)
帯域バランス (低域強調−−−○−フラット)
音色傾向 (迫力重視−−−○−質感重視)

音質評価 MrSpeakers「ETHER C」
解像度感 (粗い−−−−○きめ細かい)
空間表現 (ナロー−−○−−ワイド)
帯域バランス (低域強調−−−−○フラット)
音色傾向 (迫力重視−−−−○質感重視)
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