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普通では撮れないものが撮れる楽しさ 大人の趣味カメラ「RX10 III」(2/3 ページ)

» 2016年05月29日 12時30分 公開
[荻窪圭ITmedia]
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動画は4K動画とスローモーションに注目

 動画性能は非常に充実している。すごく充実している。基本的には高速なセンサーを搭載したRX10M2と同等。フォーマットはXAVC S、4Kで30pの60Mか100Mか。

RX10M3 記録方式はXAVC SかAVCHDかMP4か。MP4時は1440×1080ピクセルになるのが残念。XAVC Sがメインになるだろう
望遠端で4Kで撮影したヘリコプター

 フルHDだとより補正効果が高いアクティブ手ブレ補正を使える。

RX10M3 動画時の手ブレ補正はスタンダードからインテリジェントアクティブまで3種類から選べる
インテリジェントアクティブ手ブレ補正をオンにしてフルHDで撮影した動画

 さらにHFRモードで撮影するとハイフレームレート、つまりスローモーション動画が撮影可能だ。記録時フレームレートは240fpsから960fpsまで選ぶことができるが、画質を考えると240fpsが一番お勧め。240fpsで再生時のフレームレートを30pで撮ると8倍のスローモーションとなる。

RX10M3 HFR(ハイフレームレート)設定は、HFRモード時に使う
RX10M3 HFR時の動作について設定する。記録設定とフレームレートの関係で「何倍のスローモーション」になるかが決まる

 撮り方はちょっと癖がある。まず画角を決め、フォーカスを合わせてからセンターキーを押すとスタンバイになる(このあとはフォーカス固定)。スタンバイ時は常にバックグラウンドでバッファリングしつづけるため、いいタイミングで録画ボタンを押すと記録が始まる。

 設定でスタートトリガーにしておくと押してから録画、エンドトリガーにしておくと押したらそれまでバッファリングしていた動画をその場で記録してくれる。記録時間は決まっているので、エンドトリガーの方が使いやすいかと思う。

600mm相当で、240fpsで撮影して30fpsで記録したアオスジアゲハ。8分の1の速度で再生される。フルHDでこのスローモーション動画を楽しめるのは素晴らしい。撮影時間は2秒

 撮り終えたら記録に少し時間がかかるので待つ。一瞬を捉えたいときはかなりよい。

1kg超と少々重いが操作はしやすい

 これだけの高性能なカメラだけあって、少々大きくて重い。重さは1kgを超えるが、望遠重視の人ならこのくらいは許容範囲だろう。ボディデザインはRX10M2を継承。カスタムキーが1つ増えたのが大きな違いだ。グリップした状態で親指で電源をオンオフできるのはよい。

RX10M3 グリップ部。シャッターボタンの前後に電源とズームレバー。カスタムキーはC1とC2の2つになった

 モニターは2軸のチルト式で、その上にEVFがある。

RX10M3 EVFを覗いた姿を正面から。こうしてみるとボディの大きさがイメージできるかと思う
RX10M3 モニターは2軸のチルト式でハイアングルローアングルに対応。従来通りタッチパネルには未対応

 EVFはけっこう大きくて見やすく実用的。35mm換算で約0.7倍サイズで、約240万ドット。メガネをしていても違和感なく使える。

 全体の操作系は前モデルよりよくなった。「α6300」と同様、センターキー1つでAF測距点を十字キーでダイレクトに移動できるようになったのが大きい。十字キーで測距点を好きな位置に移動してさっと撮れる。

RX10M3 上面から。曲面を多用したデザインがなかなかカッコいい。右端に露出補正ダイヤルがある。撮影モードダイヤルは左肩に
RX10M3 撮影時の画面。AFは拡張フレキシブルスポットモード。センターキーを押すたびに十字キーの機能がトグルし、フォーカス位置選択モード時は十字キーで測距点を動かしてすぐ撮れる。これはよい

 背面上部には電子ダイヤル、さらに十字キーの周りにはロータリーダイヤルが用意されている。

RX10M3 背面。動画録画ボタンと電子ダイヤルが並び、モニタの右に十字キー兼ロータリーダイヤルなどがある
RX10M3 モニター。オートモードでの画面。

 レンズ部にはリングが3つ。根元にあるのが絞りリング。その先に、ズームリングとフォーカスリング。

 ズーミングはレンズ部のズームリングとシャッター部のズームレバーの好きな方を使えばOKという仕様だ。

RX10M3 フォーカスリング、ズームリング(両者の機能は入れ替え可能。回転方向は変更可能)、絞りリング。根元にはフォーカスホールドボタン。レバーでざっとズーミングをしてリングで微調整というのが使いやすそうだ
RX10M3 絞りリングのクリックはオンオフできる

 RX10M3は動画にも静止画にも広角にも望遠にもマクロにも強いという最強のカメラである。

 具体的には4K動画もスローモーション動画も撮れて1/32000秒という高速シャッターや、高速連写も楽しめて、なおかつ600mm相当でF4というクラス随一のレンズ性能を持つレンズ一体型モデル。RX10シリーズは新しくなるたびに唯一無二性が高くなっていくのがさすがソニーといったところ。

 価格は、RX10M2が15万9880円に対してRX10M3が16万6880円(いずれも税別。2016年5月 ソニーストア価格)と大きな差はない。

 安くはないけれども、価格分の魅力はある。何しろ普通では撮れないものを撮れるのだ。スポーツやネイチャーを撮るのが趣味、子供のスポーツ写真を撮りたいという人はもちろんのこと、そういう人じゃくても、これでしか撮れない絵があり、鳥だろうが虫だろうがさまざまな被写体に対していろいろな撮影を楽しみたくなる。

 そんなオトナのためのカメラなのである。正直、1台欲しい、これで遊びたい、と思わせてくれる。

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