動画性能は非常に充実している。すごく充実している。基本的には高速なセンサーを搭載したRX10M2と同等。フォーマットはXAVC S、4Kで30pの60Mか100Mか。
フルHDだとより補正効果が高いアクティブ手ブレ補正を使える。
さらにHFRモードで撮影するとハイフレームレート、つまりスローモーション動画が撮影可能だ。記録時フレームレートは240fpsから960fpsまで選ぶことができるが、画質を考えると240fpsが一番お勧め。240fpsで再生時のフレームレートを30pで撮ると8倍のスローモーションとなる。
撮り方はちょっと癖がある。まず画角を決め、フォーカスを合わせてからセンターキーを押すとスタンバイになる(このあとはフォーカス固定)。スタンバイ時は常にバックグラウンドでバッファリングしつづけるため、いいタイミングで録画ボタンを押すと記録が始まる。
設定でスタートトリガーにしておくと押してから録画、エンドトリガーにしておくと押したらそれまでバッファリングしていた動画をその場で記録してくれる。記録時間は決まっているので、エンドトリガーの方が使いやすいかと思う。
撮り終えたら記録に少し時間がかかるので待つ。一瞬を捉えたいときはかなりよい。
これだけの高性能なカメラだけあって、少々大きくて重い。重さは1kgを超えるが、望遠重視の人ならこのくらいは許容範囲だろう。ボディデザインはRX10M2を継承。カスタムキーが1つ増えたのが大きな違いだ。グリップした状態で親指で電源をオンオフできるのはよい。
モニターは2軸のチルト式で、その上にEVFがある。
EVFはけっこう大きくて見やすく実用的。35mm換算で約0.7倍サイズで、約240万ドット。メガネをしていても違和感なく使える。
全体の操作系は前モデルよりよくなった。「α6300」と同様、センターキー1つでAF測距点を十字キーでダイレクトに移動できるようになったのが大きい。十字キーで測距点を好きな位置に移動してさっと撮れる。
背面上部には電子ダイヤル、さらに十字キーの周りにはロータリーダイヤルが用意されている。
レンズ部にはリングが3つ。根元にあるのが絞りリング。その先に、ズームリングとフォーカスリング。
ズーミングはレンズ部のズームリングとシャッター部のズームレバーの好きな方を使えばOKという仕様だ。
RX10M3は動画にも静止画にも広角にも望遠にもマクロにも強いという最強のカメラである。
具体的には4K動画もスローモーション動画も撮れて1/32000秒という高速シャッターや、高速連写も楽しめて、なおかつ600mm相当でF4というクラス随一のレンズ性能を持つレンズ一体型モデル。RX10シリーズは新しくなるたびに唯一無二性が高くなっていくのがさすがソニーといったところ。
価格は、RX10M2が15万9880円に対してRX10M3が16万6880円(いずれも税別。2016年5月 ソニーストア価格)と大きな差はない。
安くはないけれども、価格分の魅力はある。何しろ普通では撮れないものを撮れるのだ。スポーツやネイチャーを撮るのが趣味、子供のスポーツ写真を撮りたいという人はもちろんのこと、そういう人じゃくても、これでしか撮れない絵があり、鳥だろうが虫だろうがさまざまな被写体に対していろいろな撮影を楽しみたくなる。
そんなオトナのためのカメラなのである。正直、1台欲しい、これで遊びたい、と思わせてくれる。
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