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“オーディオの名門”からハイエンドヘッドフォンが続々――専業メーカーとは一味違う音へのアプローチ秋のヘッドフォン祭2016(3/3 ページ)

» 2016年10月24日 19時34分 公開
[天野透ITmedia]
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アビィ・ロード・スタジオに通じるヘッドフォン

 デノンと同じD&Mブースでは、「B&W」の名前で親しまれている英国の老舗スピーカーブランド、Bowers & Wilkinsの新ヘッドフォン「P9 Signature」もお目見えした。セミオープン型のフラッグシップ機として登場した本機は、奇しくもデノンヘッドフォンと同じく、ブランド創立50周年を記念するモデルだ。価格はオープンで、市場想定売価は11万円前後。

「スピーカーの800シリーズを手掛けたチームの設計」「ホンモノのB&Wサウンド」と代理店のD&Mが胸を張る「P9 Signature」。スタイルデザインを全面に押し出した従来のモデル群とは一味も二味も違うサウンドに、スピーカーユーザーもヘッドフォンユーザーも驚くだろう
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 細身のヘッドバンドが特徴的だった従来の同社製ヘッドフォンと比べて明らかにリシッドな作りのP9、B&Wは「英国ウェストサセックス州の自社エンジニアチームが開発を担当した」としているが、何を隠そうこのチームとは、かのアビィ・ロード・スタジオのリファレンスとして有名なスピーカーシステム「800シリーズ」の開発チームだ。ここからも分かる通り、P9では最新トレンドを追ったヘッドフォン的なパキパキ音ではなく、800シリーズのような音を目指したものである。例えば華奢なものでは音がぶれるためにフレームやハウジングも今までよりはるかにしっかりとしたものを用意したり、スピーカー的な定位を求めてドライバーユニットは耳に対して15度の角度をつけて配置したりするなど、B&Wスピーカーの音を強く意識した設計がなされている。

従来通りイヤーパッドを外すことでリケーブルが可能。ただしコネクター部がタイトなため、汎用品を使うのは難しいという。同じD&MブースにいたKimber Kableのレイ・キンバー社長に「これのリケーブルを作らない?」と聞いてみたところ、「ウチのケーブルだと太くてプラグが入らないよ」という残念な答えが返ってきた

 800シリーズのモデルサイクルはおよそ10年。息の長いスピーカー製品に比べると、現代のヘッドフォンは極めて動きが速い。そのような市場において今まで言ってこなかった「800のチームが作っています」ということを打ち出し、P9がB&Wヘッドフォンにおける普遍性のマイルストーンとなることを目指していると分かる。あるいはヘッドフォン趣味の人たちとスピーカー趣味の人たちをつなげる橋渡し役になるかもしれない。

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