液晶に比べて有機ELはピーク輝度が取れないので、「昼間の明るい部屋でテレビを観るという用途には不利なのでは?」と心配する向きもあろうかと思うが、まったく問題ないと断言できる。派手な美術が施されたテレビのバラエティー番組などは、明るい液晶で見るとその毒々しさが増長される印象なので、本機のほうがよっぽど落ち着いて見られるというのが個人的見解だ。
また、本機のベゼル幅を極限まで薄くしたシンプルなデザインも好ましい。メタリックシルバーのフロントビューを持つ専用スタンドに載せると、 2度後ろに傾く設計になっており、一般的なテレビ台やラックの上に置いてソファーに座って観た場合にぴったりフィットする印象だ。
スピーカーは、ディスプレイ下部に下向きに据えられたインビジブル・タイプ。前向き配置されたアンダースピーカーは、画面の下から音が出ているという違和感が強いが、“音が定位しない良さ”といったらいいのか、下向き配置の本機はその違和感が少ない。また音質も下向き配置とは思えない聞きやすい音にチューニングされている。
もっともこの超高画質にバランスする音かといえば、もちろんそんなことはないわけで、UHD BDなどのハイクオリティーコンテンツを楽しみたいという方は、ぜひ本機の両サイドに本格的なステレオ・スピーカーを配置していただきたいと思う。
まあそれにしても、東芝テレビ開発陣の映像を解析する力、映画を解釈するセンスというのは凄いものだと思う。有機ELデビュー作で、これほどの画質を達成するとはほんとうに驚きだ。55V型/65V型ともにそれぞれ良さはあるが、ぼくはより大画面の65V型により強く心ひかれた。今しばらく煩悩の日々が続きそうである。
同社の事業環境はますます厳しくなっているようだが、テレビ事業のこのすばらしい新芽を大切にして、ぜひ末永くがんばっていただきたい。
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