ヤマハは8月31日、キーボードの演奏に合わせ、初音ミクなどのVOCALOIDに歌ってもらえる「ボーカロイドキーボード VKB-100」を12月に発売すると発表した。右手でメロディーを奏でると歌声が出て、左手でビブラートをかけるなど「表情付け」ができる。ユーザーのオリジナル曲を歌ってもらうことも可能だ。価格は4万円(税込、以下同)前後を想定している。
ボーカロイドキーボードには、あらかじめ5曲の歌詞情報を搭載。演奏者がその曲の通りに弾くと同じ音階でVOCALOIDが歌い、違う音で弾いてもメロディーに合わせて歌ってくれるという。右手でメロディーを奏でながら、左手でビブラートをかける、音のボリュームを変更、リバーブをかける――など表情付けが可能。
シンガーが歌う間は、キーボードから出力される音は1音のみで、コーラスパートを同時に弾いたり和音を奏でたりすることはできないという。
あらかじめ選べるシンガーは「VY1」(ヤマハ提供)のみだが、「初音ミク」「Megpoid」「IA」「結月ゆかり」も追加できる。1人目の追加は無料、以降は1人あたり2400円での販売を予定している。いずれのシンガーも特定バージョンのものではなく、ボーカロイドキーボード向けに新開発したという。対応言語は日本語のみ。
専用スマートフォンアプリを使い、シンガーやキーボードモードの切り替えをしたり、新しい歌詞情報を登録したりできる。ユーザーが作ったオリジナル曲をシンガーに歌ってもらうことも可能だ。対応OSなどアプリの詳細は未定。
通常のキーボードとしても利用可能。この場合は和音も出せる(ポリフォニック)。ただ基本的に「歌わせるためのキーボード」を想定しているという。「通常だとヤマハのキーボード製品は数百種類の音色を搭載しているが、ボーカロイドキーボードはシンセサイザーやギターなどベーシックなもの十数種類に絞った」(同社広報部)
ボーカロイドキーボードの公式サイトには、歴代の試作品がずらりと並んでいる。「試作を始めて7年ほどになる」(広報部)という。
開発当初はショルダーキーボードではなく、左側にテンキーを備え、PCのローマ字入力のように母音と子音を押さえながら演奏する――というものだったという。だが、イベントなどで披露したところ演奏しにくいことが分かり、現在の姿に落ち着いた。「ユーザーの意見を取り入れ、さまざまな機能を盛り込んで、より楽しめるようなものにした」
VOCALOIDの初音ミクは8月31日、デビューから10周年を迎えた(関連記事)。「初音ミクが広く浸透していく中で、カラオケなどでもVOCALOID曲が増えるなど盛り上がってきたが、ハードルの高さはあった」という。ボーカロイドキーボードによって「音楽制作の知識がない人にも、より広く扱ってもらえるようにしたい」(広報部)
同製品は、初音ミク関連イベント「マジカルミライ2017」(千葉・幕張メッセ、9月1日〜3日)で演奏体験ができるという。
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