ソニーがベルリンで開催されているエレクトロニクスの展示会「IFA2017」で、ハイレゾ対応ウォークマンの新しい上位モデルとなる「NW-ZX300」を発表した。ヨーロッパでの発売は10月以降を予定。価格は700ユーロになる見込み。
本機のコンセプトは、ウォークマンのフラグシップモデルにあたる“Signature”「WM1シリーズ」の音質と、現行モデル「NW-ZX100」で評価されたポータビリティを兼備することにあった。ハイレゾ音源のよりきめ細かいニュアンスに迫るため、ソニー独自のフルデジタルアンプ「S-Master HX」(CXD-3778GF)をブラッシュアップ。WM1シリーズの基板にも使われているソニー独自の“高音質はんだ”を、ウォークマンとして初めてS-Master HXの半導体チップを基板に接合する箇所にも使ったことで、より透明度が高く定位の鮮明なサウンドを獲得している。
さらにアンプの電源まわりにも新規開発のフィルムコンデンサを採用し、その実力を余すところなく引き出すために部品の構造から見直をかけた。力強く彫りの深い低音や鮮度の高い中域、煌(きら)びやかな高域の再現力がその証明だ。WM1シリーズと同じ低位相ノイズ設計の水晶発振器を、ZX300シリーズの小型基板に合わせて搭載したことで、S/Nの向上も果たしている。
本体のリアパネルのシャーシはステンレスからアルミに変更。十分な強度を確保しながら、本体の計量化とインピーダンス特性の向上を図ったことで、歪みのないサウンドを再生する。これらのチェックポイントを頭に入れながら、IFAの会場に展示された実機でサウンドをチェックすることができた。あいにく現行モデルのZX100と比べて聞くことまではできなかったが、見通しの良い音場感と、それぞれの音の滑らかな質感に脱帽した。
NW-ZX100から加わった新機能の1つにバランス接続に対応したことが挙げられる。ソニーが普及に力を入れる4.4mm 5極の“ペンタコン端子”を、本体の天面にアンバランス出力と隣り合わせで配置した。DSD音源は11.2MHzまでのネイティブ再生に対応する。ZX100に比べて内蔵メモリーが128GBから64GBへ小さくなっているが、microSDカードを併用すれば使い勝手が落ちることはなさそうだ。
ユーザビリティを大きく高める機能としては、3.1インチのタッチパネル液晶が新たに採用されている。本体サイドにまとめた物理ボタンとともに直感的な操作性を実現。ウォークマンシリーズとして初めてタッチパネル液晶にマットガラスが採用され、指滑りがよく、指紋も付着しにくいのが特徴だ。ユーザーインタフェースのデザインは基本的にWM1シリーズを踏襲している。
その他の新しい機能として、USB-DACモードを搭載。付属のWMポート/USBケーブルでPCと接続すれば、PCで聴いている音楽配信コンテンツの音もウォークマンのDACとDSEE HXのアップスケーリング機能でリッチに楽しめる。
11月以降にはファームウェアのアップデートによりBluetoothのaptX HDコーデックに対応を予定している。従来から備えているLDACと合わせて、高音質なBluetoothワイヤレス再生をそれぞれのコーデックに対応するヘッドフォンやイヤフォンと組み合わせて楽しめるようになる。
天面と底面にヘアライン処理を施し、前面と背面はマット加工としたメタル感を強調するプレミアムなデザインも物欲をそそる。カラバリは欧州ではシルバーのみが発売を予定しているが、国内はブラックとシルバーの2色から選べるようになりそうだ。日本での正式な発売のアナウンスを心待ちにしたい。
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