日本だけで1000万人が泳ぐFacebook、その2011年の収入源は広告が9割、仮想通貨「Facebook Credits」が1割である。仮想通貨とは参加者同士のやり取りで使われるお金、そのやり取りの手数料収入である。これが増えるという期待、参加者が喜び主宰者のFacebookも儲かるところに「50億ドル(約4000億円)」という莫大な株式公開価値がつけられている。
だがそこにマーケティングはない。この1割をどう増やす戦略がまだ見えてこない。
ソーシャルの参加者を見てほしい。ある人は仮面を付けてソーシャルの海を泳ぎ、ある人は素顔で浮かぶ。ネットのリテラシー(活用力)も参加度合いも違う、情報公開のオープン意識も違う、もちろん参加目的も違う……違うことづくめなのに同じ海を泳いでいる。
「キミはここを泳いで」「もっと沖に出て」「あなたは遊泳禁止」というようなガイドがない。顧客層をセグメントする仕掛けが見えない。だから同じ人が、あるときはネット掲示板で炎上し、SNSでハラスメントに遭い、一方でコバンザメ(味方や同調者)を従えるという奇妙な現象が起きる。いわば真夏の人がいっぱいの“芋洗い”の海辺なのである。
だからこそチャンスもある。海水浴客を識別して「こっちにおいで」と浮き輪や救命具を渡す。今のそれはゲームや占いアプリだが、それで個人情報を抜くのはとっくにバレている。もっと心に響くマーケティングをしよう。
その好事例は5つ目。筆者はこれに一番期待している。
キックスターターとは提案者が製品を開発したい、店を出したい……など提案をまとめ、その実現のための必要資金を一般消費者に募って事業化をする仕組み。資金提供の見返りはアイデア実現時の製品やサービスの提供である。事業する人の夢と応援する人の期待で成立する。
「応援」「善意」「夢の共有」こそ、“やらせ”や“あおり”のマーケティングに疲れた消費者が欲していること。しかも応援する人々は同じ好みや価値観、同じ期待を持っている。応援者へのマーケティングは断然浸透しやすい。
さてマーケティング担当者のあなたは、ソーシャルの海でゴーグルを付けますか? それとも“マーケティング砂漠”で喉を乾かせますか?
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