「サブブランド」「2年縛り」「SIMロック」――MVNO3社が語る“公正競争”の課題(3/3 ページ)
2017年12月下旬に総務省が立ちあげた「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」。この記事では、第2回会合においてMVNO3社が指摘した「競争上の課題」をまとめた。
ケイ・オプティコム:料金と速度の「同等性」を確保してほしい
ケイ・オプティコムは「公正競争」「利用者利便」の2点について意見を述べた。
IIJと同様に、同社も昨今の総務省の政策がMVNOの普及・利用促進においてプラスの効果をもたらしていると評価。
その上で、MNOやサブブランドが従来のMVNOサービスに近い価格で常時高速なサービスを積極販売することで、MVNOが競争の上で劣後する傾向にあることを説明した。
同社が提供する「mineo」で、専用帯域を用意する「プレミアムコース」加入者をベースに、サブブランドと同程度の通信速度を実現するために必要なデータ利用料(接続料)を試しに算出したところ、1加入者当たりのデータ利用料が極めて高額になったという。試算結果は会議の構成員にのみ公開されたが、同社が提出した資料の帯グラフを見る限り、現状のオプション料金(月額800円)を全て原価としてつぎ込んでも足しにもならないほどのようだ。
このことから、同社では「サブブランドが速度を維持しながら低価格化できる理由」など、サブブランドとグループ外MVNOとの間の差異の妥当性を検証し、必要に応じて公正競争を確保するための措置を検討するべきであると主張した。
利用者利便の観点では、同社は「利用期間の拘束」と「中古端末のSIMロック解除」が課題であると認識している。
利用期間の拘束については、MNO利用者の多くが「定期契約プラン」かつ「自動更新」であり、それがMVNOへの乗り換えを含む利用者の選択肢の妨げになっていないか検証する必要があると主張した。
中古端末のSIMロック解除については、中古端末のロック解除を購入者が行えない点を問題視。中古端末購入者への影響が出始めていることから、原則として回線解約と同時に端末のSIMロック解除手続きを行うなどの対応が必要であることを訴えた。
今回ヒアリングに応じた3社の主要な意見・要望を大きくまとめると、以下のようになる。
- MVNOのデータ通信接続条件の「公平性」について検証し、措置を講じてほしい
- MNOとサブブランドとの間の「営業連携」について検証してほしい
- MNOの定期契約プランの「自動更新」のあり方を検証してほしい
- MNOの下取り・残債免除プログラムについて一定のルールを設けてほしい
- 中古端末の流通を促す方策を考えてほしい
- 解約済み端末のSIMロック解除について方策を検討してほしい
「サブブランド」の形態はMVNOに限らない。また、サブブランドの企業努力によって実現したサービスも無いとは言い切れない。よって、全てのサブブランドに対して一律の検証・規制を行うことは困難を極めると思われる。検討会が、どのような「落としどころ」を見いだすか、注目したい。
次回の会合(第3回)は、1月22日に開かれる。今回に引き続き、関係者へのヒアリングを実施する予定だ。
基本情報から価格比較まで――格安SIMの情報はここでチェック!→「SIM LABO」
関連記事
総務省がワイモバイル、UQモバイル潰しの有識者会議を開催――「テザリング利用不可問題」を議論するのは本当に国民のためなのか
総務省において「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」が立ちあがった。公正競争のための環境を作るための会合であるはずなのだが、その論点が国民のメリットになるものかというと、そうでもないような気がしてならない。急成長を遂げる中古携帯市場 課題は「参入障壁」と「ユーザー心理」
急成長を遂げている日本の中古市場。今後成長する上で鍵を握るのは? 今回は中古携帯市場の現状と課題を掘り下げます。テレコムサービス協会、MVNOサービス利用検討者に8つの「チェックポイント」を提示
テレコムサービス協会のMVNO委員会が、MVNOサービスを検討している人に向けた「チェックポイント」を作成し公開した。国民生活センターからの注意喚起や総務省からの要請を受けての措置だ。「SIMロック解除」「実質0円」の行方は――総務省「有識者」フォローアップ会合
総務省が2014年末から順次実施してきた携帯電話市場健全化に向けた措置。その実効性を検証する「フォローアップ会合」の取りまとめ会合が、11月7日に実施された。提示された「取りまとめ案」では、「SIMロック解除」「販売奨励金・割引施策」に重点が置かれた。低容量プラン+実質0円是正で公平性を高める――総務省、携帯料金タスクフォースの第5回会合を開催
安倍内閣総理大臣の発言から始まった、携帯電話料金の値下げに向けた検討。提言をまとめるために設置されたタスクフォースの第5回会合では、提言の取りまとめ案の承認を行った。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.