転換期にきた欧州モバイルコンテンツ市場──現状と課題(1/2 ページ)

» 2005年08月03日 21時43分 公開
[末岡洋子,ITmedia]

 携帯電話の普及率では、日本を上回るレベルに達している欧州市場。オペレーター各社の3Gサービスも昨年末から本格化しており、市場は大きく動きそうだ。

 だが、欧州モバイルサービス市場の構造は日本とは大きく異なる。欧州ではどんなコンテンツが受け入れられており、どのようなビジネスモデルが主流なのか。コンテンツプロバイダのモバイルサービス展開を支援する大手、仏Netsizeの事業開発・コンサルティンググループ・ディレクターのフィリップ・ボーンスタイン氏に話を聞いた。

コンテンツ配信がSMS経由からWAPに変化

ITmedia 御社の事業内容について、教えてください。

ボーンスタイン氏 我々は、SMSを利用した着メロのダウンロードサービスなど、企業やコンテンツプロバイダーが携帯端末を対象にしたサービスを展開するためのソリューションを提供する会社です。仏を拠点に、欧州など世界18カ国にオフィスを持っています。

 ソリューションとしては、各国オペレーターへのアクセス(SMSやMMS、モバイルインターネットなど)、携帯向けサービスのためのプラットフォーム提供、カタログ作成・提供、配信などのコンテンツ管理、サービス展開サポートになります。

 また最近では、世界最大級のスティッキー度(1ユーザーあたりの滞在時間)を誇る米neopets.comのモバイルサイトを手がけることも発表しました。壁紙や着メロのダウンロードに加え、携帯電話を操作して自分でオリジナルペットを作成できるコンテンツも提供します。

ITmedia 欧州におけるモバイル市場やコンテンツの動向について教えてください。

ボーンスタイン氏 まず重要なこととして、日本とは市場の構造が違うという点があります。日本では、オペレーターが主導して端末やサービスの仕様を決め、コンテンツプロバイダと端末メーカーがそれに従って端末やコンテンツを開発するスタイルです。欧州は日本とは異なり、それぞれが独立しています。

 オペレーターとコンテンツプロバイダの関係は日本ほど強くないため、コンテンツプロバイダは自分自身でプロモーションする必要があります。各社は、雑誌やテレビなどで積極的にマーケティングをしています。全トラフィックのうち、オペレーターのポータルへのアクセスは全体の2割といわれており、残りの8割はポータル外。またビジネスモデルがSMSベースという点も欧州の特徴です。通常のSMSより高い通信料金を設定した“プレミアムSMS”も、よく使われています。

 このようなことから我々のように、2社の間に入ってオペレーターのポータルに入るためのアクセス、プロモーション、課金などのサービスを提供する会社が必要となるのです。

 欧州市場のここ最近の傾向として、サービスを提供するのにモバイルインターネット(WAP)を用いるコンテンツプロバイダが増えています。WAPサイトにユーザーを誘導し、コンテンツの中から選択してダウンロードさせるというパターンで、日本市場に近いビジネスモデルといえます。欧州市場参入にあたっての複雑さが軽減されることから、日本のコンテンツプロバイダにとっては、チャンスといえます。

ITmedia 欧州ユーザーは、どのようなコンテンツをよく利用していますか?

ボーンスタイン氏 コンテンツの種類としては、着メロ、壁紙などの“パーソナライゼーション”が約50%、チャット、出会いなどの“コミュニケーション”が約30%、Javaゲームなどの“ファン”が約10%、ニュースや時刻表などの“情報”が約10%です。最大のコンテンツは着メロで、全体の約35%を占めています。これは、あくまでもざっくりとした数字です。

 日本ではモバイルコマースなど、付加価値サービスが発達しているようですが、欧州ではまだまだ。日本より約2年遅れている印象です。その理由は技術というより、ユーザーの利用動向によるものといえます。欧州の携帯電話アプリケーションは音声とSMSが圧倒的で、データ通信はそれほど進んでいません。

3Gの普及でコンテンツ流通は変わるのか

ITmedia 昨年末から欧州でも3Gサービスの本格的な展開が始まりました。3Gにより、コンテンツ市場も変わるのでしょうか? 写真などのマルチメディアデータを送信するMMS(マルチメディア・メッセージングサービス)は成功しているのでしょうか?

ボーンスタイン氏 3Gではテレビ電話アプリケーションが大きく取り上げられますが、日本市場でもあまり受け入れられていないと聞いています。欧州でも同じでしょう。動画コンテンツは、音楽クリップ、スポーツ試合のダイジェスト、アダルトコンテンツなどが有望だと思います。これが成功するためには、コンテンツの価格、通信コスト、サービス品質、コンテンツプロバイダのビジネスモデルの全てが揃う必要があります。市場がここまで成熟するには、まだ時間がかかるでしょう。

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