auの通信品質は大きく改善する――KDDI 通信速度制限の狙いと今後のインフラ戦略:神尾寿のMobile+Views(2/2 ページ)

» 2008年10月06日 10時00分 公開
[神尾寿,ITmedia]
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ヘビーユーザーの需要に応えられる体制を作る

Photo 「今後も積極的に大容量通信ニーズに応えるため、今はその準備をしています」(新名氏)

 インフラの公平性を期するために、9割以上を占める一般ユーザーのニーズを優先する。しかし、auでは、将来的にはヘビーユーザーのニーズにもきちんと応えられるインフラを設計していくという。

 「ヘビーユーザーの利用状況を分析しますと、屋外で移動しながら使うというケースはあまり見られません。ほとんどが、住宅地などで固定的トラフィックがあがる『インドア』の利用傾向です。ですから、今後のインフラ設計では、これらインドアのトラフィック増に対応できるものを考えています」(大内氏)

 このインドアの需要増に対応するには、きめ細かく基地局を設置する「マイクロセル型」のエリア設計が必要になる。しかし、この面でauは、これまでドコモなど他社よりも不利な状況にあった。

 「基地局増設は積極的に行いたいのですが、耐震強度偽装問題の事件以降、建物への基地局設置交渉がものすごく難しくなってしまいました。特にauの基地局は今のところ他キャリアよりも大型のタイプしかなく、設置交渉や住民説明で理解を得る上で(他社より)不利な状況にあるのです」(大内氏)

 ドコモやイー・モバイル、ソフトバンクモバイルなどW-CDMA陣営は、すでに都市部や住宅街向けの小型基地局やルーラル(張り出し)型基地局を用意・設置している。これにより建物上の設置はもちろん、ドコモなどはPHS基地局の跡地などもうまく使い緻密な3Gエリアを構築。インドアの需要増にも応えやすい状況になっている。しかし、auは当初からマクロセル重視のエリア設計をしていたこと、また同社の予想以上のスピードでデータ通信需要が伸びたことなどもあり、小型基地局の用意が通信需要の急増に“間に合わなかった”のだ。

 「auとしては、需要があるところにピンポイントで基地局を増設し、ヘビーユーザーの方々のニーズにもきちんと応えたいのですが、今はその武器(となる小型基地局)がないのです。しかし、2年ほど前から小型基地局やルーラル型基地局の開発を始めていますので、この準備が整えば、インドアの需要増にも応えやすいインフラ環境になるでしょう」(大内氏)

 また、基地局整備の面以外では、「EV-DO Rev.Bの導入や、無線LANとの連携など、さまざまな方向性を検討していきます」(大内氏)という。通信速度制限で多くのユーザーの利益を確保しながら、ヘビーユーザーの需要増と将来的な高速・大容量通信時代も見据えていく姿勢だ。

 「auがモバイルブロードバンド時代に後ろ向きになったわけではありません。今後も積極的に大容量通信のニーズに応えられるようにします。今はその準備をしている段階なのです」(新名氏)

2008年末から「auの通信環境はよくなる」

Photo 「2008年下期には、auの通信環境は大きく改善します」(大内氏)

 auは他社よりも早く高速通信・定額制サービスを導入したこともあり、トラフィックの増大は当初から予想し、2年ほど前からそれに対応する準備を始めていたという。しかし、それでも一時的にユーザーの不満を招いてしまったのは、想定以上にデータ通信の需要が伸びて、それをキャッチアップしきれなかったからだ。この点について、新名氏は「需要予測を読み違えてしまったのは事実」と認めた上で、データ通信の需要予測方法の見直しなどで「今後に向けた予測精度は確実に上がってきている。今後は需要を読み間違えない」と強調する。

 「今年の下期にはauの通信環境は大きく改善します。我々もけっしてサボっているわけではありません。auのお客様には、ぜひ、この改善効果が現れるまで待っていただきたいですね」(大内氏)

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