ケータイのアンテナがぴかぴかするとカッコいいのだ!ケータイの着せ替えアンテナ,ってありますよね? 着信するとぴかぴか光ったりするアレ。でも,どういう仕組みで光るのかな,と不思議に思ったことありません?
こんにちはー!「もばいるのつくりかた」連載第9回です。今回は,第5回,第6回「ストラップのつくりかた」に登場したトップランドに,またまたお邪魔しています! トップランドのストラップの回で,「小さく作りすぎてしまったマスコットを利用してアンテナを作った」というエピソードがちらっとでましたが……。今回は,そのアンテナの謎について,詳しく聞いてみたいと思います。 ●●●光るアンテナ作り方講座 その1 (出生のヒミツ編)「用事があって,東京へ行った帰りの新幹線の中でした。高校生くらいの女の子が,携帯電話に小さなキーホルダーのようなものを付けていたんですよ。手作りみたいな感じだったな。その頃は,ミニストラップのようなものもまだ売られていませんでしたし,そういうごく小さいマスコットを作るのも面白そうだな,と」 そんなエピソードから話し始めてくれたのは,専務取締役の谷下勇さん。 長いストラップでなく,短いコンパクトなものを作ってみよう。そのコンセプトにしたがって,それまでのマスコットよりも小さいものを作ったのだそうです。 「でも,いまいちだったんだよな」 同意を求めた谷下さんに,デザイナーの牧野さんも苦笑い。 「ストラップとして役割を果たすには,小さすぎましたね」 と,見せていただいたマスコットは……本当だ,ちっちゃいですねー。でも確かに,携帯に付けるには,目立たなすぎるかしら? でもでも,とても小さいのに,すごく精巧です。 「で,せっかく作ったマスコットですし,何かに使えないかなー,と考えたわけです。小さいことを活かした用途があるはずですから。 それで,その頃光るアンテナというのが売られ始めていたんですが『マスコットが光る』というのはありませんでした。なので,そんなのがあったら面白いかなー,と」 小さく作りすぎたこのマスコット,確かにアンテナのてっぺんに乗るにはぴったりの大きさです。アンテナの先ならば,マスコットも小さければ小さいほうが好都合。ストラップからアンテナへ,ちっちゃなキティちゃんのとらばーゆは大成功!なのでした。 ●●●光るアンテナ作り方講座 その2 (なんで光るの?編)さてさて。ヒカリモノ……ときたら,やはり知りたいのは光る仕組みについて。第3,4回で光についてはしっかり勉強しましたからね,まかせてください。えーと,このマスコットの小ささから見て,この中に入っているのは電球ではなくて「LED」なのでしょう?(精一杯の知識を披露してみる私) 「そうそう,アタリです。では,そのLEDはどうして光るのでしょう?」 うっ,突っ込みますね。えーっと,このアンテナ,着信するとマスコットが光るんですよね。ということは,着信すると携帯の方から電気がいって光る,のだ! どうですか? この答え当たってますか?? 「見事にハズレです(にっこり)」 ……がっくり。 「そもそも,このアンテナが光るには,電池のようなものは必要ないんです。もちろん,携帯の電源から電気をとっているわけでもありません」 ??だって,光るにはエネルギーが必要でしょう? 「簡単に言うとですね,電波が電気になって光るんです」 電波が電気に……なぜ?? はてなマークを頭のまわりに乱舞させている私に,谷下さんは子ども科学教室の先生のような口調で,説明を始めました。 ●●●光るアンテナ作り方講座 その3 (よいこの科学教室編)「光るマスコットの台座の部分に,光る仕組みは入っています。仕組みに必要なのは,単純に言えばコイルとコンデンサ,この2つだけです」 えー,電池はー?(しつこい) 「電池は必要ありません。電気はこの仕組みの中で起きるんです」 ということは,発電の仕組みが入っているのかしら? 「そうですね……フレミングの左手って覚えていますか?」 お,覚えてますよ。中学校の理科で勉強しましたもの。えーと,たしか,左手の指をこういう形にして,それぞれが電流・磁界・力の向きを表している……というヤツでしょう? 「そうそう,それによれば,電波は電気エネルギーに変換することができるわけですよ」 携帯電話はその端末から電波を出して通信しています。つまり電気的な「波」を放射しているわけです。で,光るアンテナは,この「波」をキャッチし,この「波」(電気的振動)で回路を共振させて電力を得て,LEDを光らせています。だから,携帯電話本体から電源を取っているわけではないのだそうです。びっくり。 「簡単にいえば,コイルに電波が当たると電流が流れるわけですよ。それをコンデンサを通して利用できる形の電気に変換しているんです。その電気で,LEDが光ります」 むむ,なるほどー。納得です。私でも分かります。谷下先生,ありがとうございました! ●●●光るアンテナ作り方講座 その4 (無線の思い出編)さて, アンテナが光る仕組みは分かりましたが,これはトップランドさんの発案なのでしょうか? 「いいえ,この仕組みというのは,昔からいろいろなことで使われていたんですよ」 例えば,小さい頃に読んでいた学習雑誌の付録になっていたような鉱石ラジオなども,これと原理は同じようなことなのだそうです。 「私は学生の頃,アマチュア無線が趣味だったんですよ」 谷下さんはにこにこしながら,ご自身の思い出を話し始めました。 「無線のアンテナを立てて,そこに電波が来ているかどうかを確かめるのに,そんな機材を買うお金もなくて,じゃあ自作で作ればいい,と思ったんです。電波を受けたら豆電球が光る,そんな仕組みをごくごく簡単な材料で作りました」 あ,それって光るアンテナとそっくりですね! 「そうそう,同じですよ。例のマスコットをアンテナに転用しようと思いついたのも,こんな思い出にどこかで刺激されたのかもしれませんね」 光るアンテナの仕組みというのは,素人工作にも使われるような,簡単な原理でできています。鉱石ラジオや電波検知器など,子供の頃に自作したおもちゃや道具の応用のようなものです。 トップランドの皆さんとお話していると,子供の頃にわくわくして工作したその気持ちをそのままに,大人になったような印象を受けます。物を作ることの楽しさや興奮を,未だなくしていない,そんな感じを受けました。 「ただですね……今の子供たちは,あまりおもちゃなどを自分で作りたいとは思わないようですね。淋しい気もしますが」 既製品の溢れる現代では,自分の手で何かを作るという感覚は,しだいに薄れつつあります。そんな中でも,「楽しいから作るんです」そう言う谷下さんの笑顔はどこか誇らしげでした。 さてさて,今回の「光るアンテナのつくりかた」はいかがでしたでしょうか?なんだか私でも光るアンテナが作れそうな気がしてきました!(気分だけ) それでは,次回もまた,違う「モノ」や「技術」の中に飛び込んでいきたいと思います。どうぞお楽しみに〜! [絵本 智,ITmedia] 連載バックナンバー 関連リンク Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. モバイルショップ
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