ケータイでP2P! 対戦ゲームもリアルタイムで皆さんはP2Pという言葉を聞いたことがありますか? 「P」はPeerとかPersonとか,そんな意味を持っているそう。オムロンの「Jumon」を使うと携帯電話でのP2Pが可能になるとのことなのですが……。それってどう便利なの? そもそもP2Pって何??
こんにちは!もばいるのつくりかた24回です。 今回も引き続き,オムロンにてモバイルエージェント「Jumon」(じゅもん)について勉強中です。 前回のお話では,Jumonが搭載されている機器間なら,自由にエージェントを飛ばすことができるとのこと。ということは,携帯とサーバ,携帯とPDA,そして携帯と携帯でもやりとりができるわけだから……。つまりそれってP2P? ●●●P2Pって何?それでは,今回も事業開発部Jumonプロジェクト営業担当係長の西田史朗さんにお話を聞かせていただきます。よろしくお願いします! 「はい,よろしくお願いします。前回は,Jumonを使って携帯電話でP2Pのサービスを行える,という話が出たところで終わったんですよね」 そうそう,それです!……でも,そもそもP2Pって何なんですか? 「そうですね,じゃあまずはそこから勉強していきましょう。P2Pというのは,簡単に言えば,サーバを介さないで携帯ならば携帯同士でやりとりをすることです」 うーん,つまり直接やりとりができるわけですよね。 「そう,もともとP2Pのピア(Peer)とは,仲間とか同僚という意味をもっていて,つまり『仲間から仲間』へということです。また,Person to Personという意味もあって,これは『個人から個人へ』ですね」 このP2Pという言葉が一躍有名になったのは,1999年にNapsterというソフトが登場した時のことだったそうです。これは個人のパソコンに保存してある音楽ファイルを自由に交換しあえる仕組みだとのこと。 「もちろんその行為や仕組み自体の是非は議論すべき内容ですが,とりあえず仕組みとしてはP2Pですね。もともと,著作権が他者にある音楽ファイルをパブリックなサーバに登録してばらまく行為がダメ,ということになった時に,じゃあ,サーバにファイルを置かなければいいのでは? と考えられた仕組みでした。まず,特定のサーバに『自分のパソコンには,こんなファイルがある』というリストを上げます。そしてそのサーバ上のリストを参照して,『自分(Person)の欲しい曲のファイルは誰(Person)のパソコンが持っているか?』を認識して,個人のパソコン間でやり取りする。これがNapsterというソフトでできたことです」 ふむふむ。確かに個人間でのやり取りですね。「リスト」をパブリックなところに置く,というのが微妙なところではあるけれども……。 「そうですね,完全なP2Pとはいえないかもしれませんが,今のところこれが代表的な例ですね。で,これがそれまでのやりかたと大きく違うのが,機能の多くがサーバではなくて『端末』(Napsterの場合は個人のパソコン)に入っているというところです。端末同士のやり取りでうまく仕組みが成り立っています。これは,おそらくこれからのシステムの新しい形になるのではないでしょうか」 え? それってサーバはなくなっていく,ということですか? 「いえいえ,そんなことはないですよ。サーバももっと高度になって進化して運営されていくことと思いますが……。ただ,それはサービスの運営者にとっては,さらにサーバの維持が大変になることでもありますからね。例えば,現在のWebコンテンツというのは,人気のある時には設備を増強しますけれども,人気が下火になってもそのままの規模で運営していたり。あるいは逆に,ある程度コンパクトな仕組みで運営されていたものが,ポンと急に人気が出ると……」 あ! つながらなくなったり! 「そうですね。だから,サーバ側の負担はできるだけ軽くしていきたいものですよね。そう考えた時,それは端末側にある程度の『からくり』を置くことで実現できると考えています。そのやりかたの一例がP2Pですよね。いってみれば『大きなサーバ=中央にある大きなからくり』は,『たくさんの皆の手元の小さめのからくり』で代替していけます」 PCやPDAや携帯電話など,個々の端末の能力がどんどん上がってきたからこそ,可能になった仕組みともいえますね。なんだか,昔の「大型コンピュータ」時代から,パソコンを皆が持つ時代への歴史の流れと似ている気もします。 ●●●JumonでP2P!それでは,次はJumonを使って,そのP2Pの仕組みをどんなふうに実現できるのかを教えてください。具体的には,どんなことができるのでしょう? 「例えば,複数の携帯間でゲームをしたい時など,とても有効ですね。絵本さんは麻雀って分かりますか?」 あのジャラジャラやるやつですよね。でも,ルールはいまいち……。 「麻雀というゲームは4人でやるもので,順番に伏せてあるパイ(カードみたいなもの)を順番に引いて,その代わりに手持ちの物を1つ捨てて,その組み合わせを競います。これをね,例えばサーバを中心において4台の携帯でやろうとすると,サーバの負荷がとても大きくなってしまいます。誰がどんなパイを引いてどれを捨てた,というようなデータをサーバで処理して,ユーザーはそれをいちいち参照にいかなければならないわけですから」 うーん,サーバを介するゲームって,どうしても重たくなってしまいそうな。 「そうです,それが問題ですね。そこでJumonを使うと,サーバを介さず直接携帯同士でやりとりをしてゲームを進めることができるんです」 あ,出てきましたね! それがいわゆるP2Pの形ですね? 「そうそう。例えば,ある1人がサーバから麻雀のソフトをダウンロードして,友達3人にゲームを持ちかけるとします。この時,その発起人が友達の携帯にエージェントを送ると,そのエージェント自身が擬似的なクライアントソフトになり,発起人の携帯とやりとりしてゲームを行うことができるんです」 なるほどー。前回の例でいうと,発起人の携帯から麻雀プログラムを積んだ飛行機を飛ばして,友達3人の携帯(もちろんJumon空港があることが前提)に着陸させる感じかな。そして受け取ったプログラムを使って,発起人の携帯とやりとりをしながらゲームを進めていくわけです。友達3人は,サーバからゲームをダウンロードしてくる必要もなくて楽ですね。 「それに,サーバ上でゲームをする場合,特定の対戦相手を指定するのが難しいですよね。たいていは,たまたまその時,同時にサーバにアクセスしていた人同士でゲームをすることになります。誰か特定の人とゲームしたい場合,あらかじめ連絡をして待ち合わせをしなければなりません」 Jumonを使ってエージェントを飛ばすやり方なら,直接その相手を指定できますね! 不特定の人と出会ってゲームをするのも面白いですが,友達同士でやりとりをするなら,この方がずっと便利です。 「もう1つの利点は,リアルタイムなやりとりができることですね。対戦相手の端末に直接アクセスできるので,サーバからいちいち情報を読み込んでくる時間が短縮されて,より即時性・同時性の高いやりとりが可能になります」 そして,サーバの負荷も減らせる! というわけですね。 うーん,良いことがいっぱいです。……あれ,でもこれって相手からプログラムを渡されるんですよね。急にアクセスが来て,電車の中でいきなりゲームが始まったりしたら困るかも。授業中や仕事中に携帯がなって,画面を見たら「ゲーム開始!」なんて出ていたりしたら……(思わず参戦してしまいそうだけど) 「もちろん,そのあたりの制御もちゃんとできるようになっています。プログラムを渡すわけですから,セキュリティのことも考えなくてはなりません」 ふむふむ。やっぱりちゃんと考えられているんですね。では,来週はそのあたりのことから教えてください! ということで,今回はここまで。だんだんJumonのことが分かってきましたね。そろそろ研究チームに入れてもらえるかなー,と調子にのる私。それでは,来週はエージェントを安全に移動させる仕組みや,情報配信の制御のお話をして頂く予定です。お楽しみに〜! [絵本 智,ITmedia] 連載バックナンバー Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. モバイルショップ
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