使い捨て携帯充電器……過充電の心配は? 適合機種の基準は?●●●使い捨て充電器作り方講座 その4 (バージョンアップ! 編)「今度,こういうものも作ったんですよ。使い捨ても便利だけれど,何回も使えたらもっといいでしょう?」 と,谷下さんの見せてくれた新商品は,使い捨てでない携帯充電器! 9ボルトの角型乾電池を交換して,何度も使えるようになっています。デザインもなんだかカッコよくなって…… 「さらにパワーもアップしました。以前のものは単3電池2本を直列につないで3ボルトでしたが,今度のものは9ボルトの電池を使っていますから」 おおー,じゃあ,9ボルト分充電できるんだ! と単純に思ったところ「いえいえ,この電池の電気を全部使い切っているわけじゃないんですよ」とのこと。 どういうこと??と,またもや分からなくなってしまった私に,牧野さんが説明してくれた「充電の仕組み」は次の通りでした。 まず,電気というのは,電圧が高い方から低い方へと流れる性質があり,これを利用して充電を行っているのだそうです。そうすると,携帯電話のバッテリーの電圧と電池の電圧がつり合ってしまった時点で充電がストップしてしまいます。電池にはまだ電気が残っているにも関わらず,です。 (図1) そこで,電池の電圧の方を大きくしてあげれば……ほら,もっといっぱい充電ができました! (図2) 「ね? 今度のはすごいでしょう。でも,価格はあまり変わらず,880円なんですよ」 えっへん,と胸を張った谷下さん。……なぜ? どうして,そんなに改良したのに,値段はあまり上げずに済むんですか?? ねえねえ,教えてくださいよう……とお願いしても「企業秘密ですから」と笑顔でかわされるばかり。 「ちょこっとだけお話しますとね,要は技術改良ですよ。あとは設計の工夫でコストをぎりぎりまで下げました。例えば,自慢はこのボディです」 牧野さんが説明して下さったのは,この部分。分かりますか? 「電池を交換できるようにするためには,ボディにふたを付けるか,何か動かせる形で電池を止めるようにしなくちゃなりません。でも,バネやふたなどを付けると,コストが上がってしまうんですよね」 そこで,牧野さんの思いついたのが,このS字型になったプラスチックのボディ。箱の役割を果たすと同時に,S字型の部分がしなるようになっていて,バネの役割をも果たすようになっています。見た目のデザインもスマートで格好良いし……これはスゴイです! 「こんなふうに,極力部品数を減らすのが,価格を抑える秘訣なんです」 ●●●使い捨て (じゃない) 充電器作り方講座 (特別編)「携帯電話の充電器だけに限りません。例えば,こういうものも,いろいろな工夫でコストダウンを図っています」 次に見せてもらったのは,車の中などで使える携帯バッテリー。 これは,さまざまな電気製品の電源として使えます。似たような商品で,たまに安売りなどをしているのを見かけたりもしますが,そういうものの中には,電気をおこせても,おこした電器を電気製品に使用可能な電流に変換できないものもあるのだそうです。トップランドさんは「価格はできるだけ低く,なおかつ電気製品にもきちんと使える,そういうものを作りたかった」といいます。 「これも大分部品を減らして,コストを下げてあります。放熱なども,このギザギザで補ったりと,いろいろ工夫しました」 え? これって飾りじゃなかったんですか?……表面に凸凹のしましまがついています。 「表面積を増やした方が,空気に触れる部分が広くなって冷えやすいでしょう?」 なるほどなるほど。腸壁みたいですね! (変な表現?) 「さらに,部品が少ないことは,組み立てる手間も少ないということなんですよ。だから,内職さんにもお願いしやすいですし。また,もっと簡単に組み立てられるように,設計に工夫したりもしています」 コストダウンは設計思想で,という牧野さん。カッコいいです! 大きい工場で大量生産をして,とか,品質を下げて,とかではなく,技術改良と設計思想でコストダウンをしていくその姿勢に,モノ作りの原点を見た思いでした。 さてさて! 2週間にわたってお送りした使い捨て充電器のお話はいかがでしたか? トップランドさん,ご協力ありがとうございました! 今回紹介しました充電器をコンビニなどで見かけることがありましたら「なるほど,これがそのS字型カーブかー」と思い出してみて下さいね。熱いモノ作りスピリットが伝わってくるかもしれませんよ! では,次週もまた,違う「モノ」や「技術」の中に飛び込んでいきます。それでは,またー! [絵本 智,ITmedia] 関連リンク 連載バックナンバー Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. モバイルショップ
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