販売数は110万台以上――韓国版「Galaxy S」を見てきた:“あれ”が出てきます
21カ国で販売されているSamsung電子の「Galaxy S」は、韓国では100万台以上売れている。これは過去最速の販売ペースだという。いったい何が韓国人の心をつかんだのか。現地でGalaxy Sを手に取り、購入者の話を聞いてきた。
Samsung電子のAndroid端末「Galaxy S」は、2010年5月26日のシンガポールでの発売を皮切りに、7月上旬までに世界21カ国で発売された。韓国ではSK Telecomが6月24日に発売してから1カ月で約50万台が売れるという、過去最速のペースで販売台数を伸ばしている。Samsung電子によると、2010年9月15日までに約110万台以上が売れた。端末価格は料金プランによって異なるが、安価なプランでは2年契約で26万5000ウォン(約1万9566円)。
日本でも昨今は100万台以上売れるケータイは滅多に聞かないし、Xperiaでさえ30万台強といわれている。「韓国人は1つの流行が起きると、そこへ一気に流れる傾向がある」という話を聞いたことがあるが、それでも同国の市場規模を考えると相当な数字だ。韓国の携帯電話の契約数は、2010年9月に5000万台を突破したので、単純計算で約50人に1人がGalaxy Sを使っていることになる。ちなみに2009年度の韓国の携帯電話の出荷台数は約2300万台で、Samsung電子の端末が、約半数となる1100万〜1200万台を占めている。あらためて、同国におけるGalaxy Sの人気とSamsungブランドの強さを感じた。
韓国のGalaxy Sはどんなモデルなのか。先日、韓国を訪れた際に現地のGalaxy Sに触れる機会を得たので、簡単にリポートしたい。
韓国版ならではの機能とは
Galaxy Sの基本的な仕様は統一されているが、販売する地域によって、形状や利用できる機能が一部異なる場合がある。韓国版Galaxy Sの形状はグローバル端末とほぼ同じだが、裏面のロゴが異なる。グローバル版には「Google」と「SAMSUNG」のロゴがあるが、韓国版ではSK Telecomのロゴ「T」と、韓国のSamsungケータイのブランド「Anycall」ロゴがある。
さらに、韓国版Galaxy Sは、携帯向け地上波デジタルテレビ放送「T-DMB」を視聴できるのも特徴の1つ。T-DMB用のホイップアンテナを内蔵しており、長く伸びる。T-DMBで視聴できるコンテンツは、ワンセグと同様に家庭用テレビでオンエアされているものと同じながら、T-DMBはワンセグと異なり地下でも視聴できる。韓国でも電車に乗るとケータイをいじっている乗客が多く、T-DMBと思しき映像コンテンツを見ている人が多かったのが印象的だった。それだけに、T-DMB搭載がGalaxy S購入の決め手になった人もいたのかもしれない。
映像の解像度はワンセグが320×240または320×180であるのに対し、T-DMBは352×288ピクセル(CIF)。ワンセグよりもやや高精細だ。
韓国版Galaxy SはT-DMB用のチューナーを内蔵しているが、ボディサイズはグローバル版の64.2(幅)×122.4(高さ)×9.9(厚さ)ミリと同じで、重さが119グラムから121グラムに増したのみ。グローバル版とは部品の構成を変えたのか、もともと空いていたスペースにチューナーを載せたものと思われる。
このほか、韓国版のオリジナルアプリとして、教保(キョボ)文庫の電子書籍、オンラインニュース、ポータルサイトやSNSなどがプリインストールされている。
“初スマホ”にiPhone 4ではなくGalaxy Sを選んだ理由
韓国在住の友人(20代後半、女性)は、発売されて間もないタイミングでGalaxy Sを購入した。友人がスマートフォンを手にするのは初めてのこと。iPhone 4の発表直後は「iPhone 4が欲しい」と話していたが、韓国では当初の予定から発売が9月10日に延期となった。以前の機種は5年間も使っていてそろそろ変えたいと思っていたそうなので、iPhone 4を待ちきれずにGalaxy Sを購入したのかと思いきや、「iPhone 4が先に発売されていても、Galaxy Sを選んだ」とのこと。
Galaxy Sを気に入った一番の理由は「ディスプレイがきれいなこと」。広視野角、高コントラストが特徴のスーパー有機ELは、ほかの機種にはない特長。画面は毎日見るものだけに、購入後の満足度に直結したのだろう。幅64.2ミリは少々太いと思ったが、「両手で使うことが多いので、それほど問題ではない」ようだ。ホーム画面のカスタマイズはあまりしておらず、ウィジェットは何ができるのかがよく分からないようで、使っていなかった。また、「アイコンに触れてすぐに使える」ことから、Galaxy Sに替えてからTwitterを使う頻度が増えたそうだ。
このほか、「Samsungのアフターサービスが優れていて、無料で修理をしてくれる」ことも、Galaxy Sを選んだ理由だと話していた。
Galaxy Sは友人にとって初のフルタッチ端末だが、タッチパネルの操作は1週間ほどで慣れたという。筆者の周りでは、フルタッチ端末(主にiPhone)に替えてから、慣れるのに時間がかかるという人が多い。その主な理由は文字入力だ。ハードキーで入力をする“親指文化”が根付いた日本では、タッチパネルでの入力に抵抗を示す人も少なくない。
しかし韓国ではタッチパネル対応機が多くを占めており、とりわけ若者に支持されている。日本語にも精通している友人は「韓国語は変換が必要ないけど、日本語は変換に手間がかかるからでは?」との見解。確かに、筆者はタッチで正しく入力できても、変換候補から違う単語を選んでしまうことがよくある。多数の変換候補から単語を選ぶという細かい操作は、ハードキーの方が向いているとも思う。変換が不要な英語や韓国語の方が、煩雑な操作が求められないので、タッチパネルに向いているのかもしれない。
NTTドコモから発表予定の“日本版Galaxy S”には、どんなカスタマイズが施されているのだろうか。iPhoneがフリック入力、XperiaがPOBox Touchといった工夫を凝らしただけに、日本語入力周りは特に気になるポイントだ。着実に迫っている今秋の発表を待ちたい。
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