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インタビュー

「通信キャリアの新料金プランとガチで比較してほしい」――クーポン増量で攻めるIIJMVNOに聞く(1/2 ページ)

MVNOの老舗としてモバイル通信サービスを提供しているIIJ。最近は3つの料金プランで、フルスピードのLTEが使える「クーポン」を倍増したことが話題を集めている。そんなIIJが目指すのは「既存の通信キャリアに並ぶ存在」だ。詳しい戦略を聞いた。

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 インターネットイニシアティブ(IIJ)は、モバイル通信サービスを提供するMVNOの中でも老舗ともいえる存在だ。ドコモのLTEを利用できる「IIJmio高速モバイル/Dサービス」(IIJmio)では、データ通信サービスはもちろん、音声通話のプランも提供している。

 IIJならではの取り組みとして、IIJmioには「クーポン」という仕組みを採用しており、クーポンをオンにするとドコモのフルスピードのLTEを利用できる。クーポンがオフのときは最大200kbpsに速度が落ちるが、75Kバイト以内のデータ転送については速度制限をかけない「バースト転送」を取り入れるなど、ユーザーが快適に通信できるよう配慮している。

 10月1日からはIIJmioの全3プランで、料金は据え置きでクーポンの容量を2倍(またはそれ以上)に増やし(→月額972円で2Gバイトから――「IIJmio」のバンドルクーポンが約2倍に増量)、すかさずNTTコミュニケーションズも追随するなど(→「OCN モバイル ONE」の4コースで通信量を増量、Wi-Fiへ自動で切り替える機能も提供)、結果的にMVNO全般の料金をさらに動かすこととなった。

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10月1日からクーポン(データ通信量)を増量した

 IIJは「てくろぐ」という公式ブログで開発者がIIJmioにまつわる情報を積極的に発信しているほか、「IIJmio meeting」という懇親会を定期的に開催しており、こうした中の人の声を聞ける取り組みも好評だ。

 今回はそんなIIJの戦略を、ネットワークサービス部 モバイルサービス課 担当課長の佐々木太志氏と、プロダクト本部 プロダクト推進部の堂前清隆氏に聞いた。

iOS 8のiPhone 5s/5cでテザリングが使える利用になった理由は?

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IIJの堂前氏

―― クーポンを2倍に増量されたのは驚きました。ユーザーとしては非常にうれしい改定だと思いますが、通信品質などは大丈夫なのでしょうか。

堂前氏 もちろん、試算の上でやっているので大丈夫です。通信品質が下がることを心配されている人も多いと思いますが、質を下げて水増ししては意味がありません。それに見合った分だけの設備を投資しています。

―― 実際に通信量は増えたのでしょうか……と、まだ10月でないので分からないですよね(インタビューは9月26日に実施した)。

堂前氏 そうですね。ただ、ここ数日はiOS 8のアップデートの影響かもしれませんが、予想外にトラフィックが増えました。Androidのアップデートは散発で、iOSも普段は100Mバイトもないのですが、今回のメジャーアップデートはインパクトが大きかったですね。

―― IIJさんも、てくろぐでiOS 8やiPhone 6/6 Plusの対応状況をいち早くアップされていましたよね。

堂前氏 うっかりアップデートして(何かの機能が)使えなくなってしまうのが、お互いに辛いですし、それがないのが一番いいなと。あとは我々も好き者なので(笑)。きちんと出した情報に対して、皆さんから反応が返ってくるのは楽しいというのもありますね。

―― 対応状況の発表も早かったですよね

堂前氏 逆に、他社さんから情報が出ていなくて、僕らが先走ってしまったのか? と不安になっていました(笑)。iPhone 6と6 Plusは端末確保に必死でした。6の予約はできたのですが、6 Pulsが予約できなくて……。結局、名古屋の栄のアップルストアで6 Plusを確保しました。IIJは名古屋に支店があるので、支店から走っていってもらって……。9月19日には、朝からずーっと検証していましたね。

―― iOS 8にアップデートしたiPhone 5s/5cでは、これまでMVNOのSIMでは利用できなかったテザリングが使えるようになりました(てくろぐの参考記事)。これななぜなんでしょうね……。

堂前氏 我々が何かをしたわけではないんですけどね。以前もあったように、突然使えるようになったり、使えなくなったり……。

佐々木氏 僕らがいろいろな声を上げたことが、何らかの形で誰かの耳に入って、そういう結果になればいいかなと思っていました。誰が判断をして、どういう経緯でそうなったのかは、完全にブラックボックスなので、分からないですね。

―― Appleさんなのか、キャリアさんなのか……。

佐々木氏 iPhoneでテザリングができないことは、ドコモさんの中でも問題になっているはずです。ドコモさんの場合、spモード以外のAPNを提供する、法人向けの「ビジネスmopera」といったサービスをお持ちです。そういうAPNをお使いで、自社のイントラネットで使っている法人で、恐らくテザリングできないことがトラブルになっているはずなんです。

IIJmioで利用者の多いOSとSIMの種類は?

―― なるほど。それでドコモさんが腰を上げたのかもしれませんね。iPhoneとAndroidのユーザーの比率はどれぐらいでしょうか。今回のiPhone 6/6 Plusの発売で、iPhone比率はさらに増えそうですが。

佐々木氏 大体の感覚ですと、Androidが6〜7割くらい、残りのほとんどがiOS、1割かそれ以下の比率でWi-FiルーターやUSBドングルですね。

 iPhoneは、9月にドコモさんが取り扱いになられる前は、輸入品をお使いの人に限定されていました。2013年にドコモさんが取り扱いを始め、日本国内でSIMロックフリーモデルの販売が始まって、容易に調達できるようになりました。iPhone 6ではキャリア版と同時にSIMロックフリーモデルも発売されたので、iPhoneの比率が上がっていくとは思っています。

―― AndroidはHuaweiの「Ascend G6」やLGエレクトロニクスの「LG G2 mini」などのセット販売もされています。端末とのセット販売は今後も増えていくのでしょうか。

堂前氏 どんなチャンネルになるかは分かりませんが、いくつかセットでというのは、今後も販売していくと思います。

―― 利用者が多いのはどのサービスですか?

佐々木氏 申し込み状況、データ、SMS、音声がほぼ同じくらいですね。

堂前氏 最近は1台持ちで、MNPで移行する方も多いですよ。今回のプラン改定とiPhoneの発売で、ドコモ、au、ソフトバンクに続く、メインキャリアと対等に見ていただけるケースが増えてきたかなと思います。ワイモバイルさんもありますが、iPhoneを使える通信事業者の4社目、という。

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