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「感情」を獲得した初音ミク――「ダーク」「ソフト」でうたってもらった(2/2 ページ)

» 2009年12月09日 16時40分 公開
[松尾公也ITmedia]
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全部まぜてみた

 単独で歌いなおした曲を聴いていただければ、初音ミク、「soft」「dark」のそれぞれの特徴は感じていただけると思うが、別の使い方を実験してみた。1つの曲の中で複数の歌声を切り替えて使うのはどうだろうか?

 同じ曲だが、オリジナルのミク、「soft」「dark」を歌詞の感情的な動きに従って声を切り替えてみた。ミク→soft→dark→ミク、といった具合にスイッチしている。今回はGarageBandで切り貼りしたが、製品版が出てくれば、VOCALOID EditorのSingerを音符単位で切り替えることができる。

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 これまでは複数のSinger設定を切り替えたり、GEN(ジェンダーファクター)やCLE(クリアネス)、OPE(オープンネス)といったパラメータを描くことで感情を表現しようとしていたものが、Singerの切り替えならば簡単にできる。もちろん、従来の調声テクニックと組み合わせれば、感情表現はさらに豊かなものになるはずだ。

 さらに、2パートのコーラスのところでは、オリジナルミク、「soft」「dark」を同時に発声させている。ミクのバリエーションによる同時発声だけあって、まったく違和感がない。3つの声を別トラックにしてVOCALOID Editor上でミックスすれば中間的な声にもなったりするのだろうか。

 同一歌手による複数の表情。ある表情から次の表情への変化が急に切り替わるのではなく、なだらかに遷移してくような効果が出せるとさらに面白くなるのだが、それは現在のVOCALOID 2エンジンではできない。VOCALOIDの生みの親であるヤマハの剣持秀紀氏が最近になって開発表明したVOCALOID 3ではどうか? クリプトンはほかのVOCALOIDのAppend化も検討しているようなので、ヤマハのロードマップに期待したい。

 Appendの追加表情ライブラリで「感情回路」が組み込まれる初音ミク。いったんその「感情」に触れてしまうと後戻りができなくなる。

 デモ版は2週間の利用制限があるが、期限が切れる前にわれわれは製品版を手にすることができるだろうか? クリプトンはまだ価格も発売日も明らかにしていない。ここで「タイムリミット」の気分を再び味わうことになるとは……。クリプトンからの続報を待ちたい。それまではせいいっぱい「soft」と「dark」に活躍してもらうことにしよう。

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