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» 2010年03月19日 07時00分 UPDATE

寄稿・福井健策弁護士:歌詞つぶやいても大丈夫? RTは? Twitterと著作権を考える (2/2)

[福井健策,ITmedia]
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Q4:つぶやきが著作物な場合、RTは著作権侵害か?

 他人のツイートが著作物にあたる場合、それを「RT @fukuikensaku: ●●●」などのスタイルで再度つぶやくリツイート(RT)はどうか。

 原則通りならば、他人の著作物を再度「複製」「公衆送信」している訳だから、無許可でやれば著作権侵害のようにも見える。しかし、RTはTwitterの最も基本的なツールであり、Replyと並ぶTwitter普及の原動力だ。それが出来ないとなれば影響は甚大となる。

 ここで問題になるのが、Twitterの利用規約。現時点(2010年3月18日)で、Twitterを始める人が同意を求められる利用規約には、大略こう書いてある。「ユーザーのツイートを、Twitter及びその許可を受けた者は自由に複製・送信・改変・使用できる」(参考和訳「ユーザーの権利」参照。本当の規約は英文だ)。

 直接関連がありそうな記述は、ここまでだ。困った。

 「Twitterの許可を受けた者は、ほかのユーザーのツイートを利用できる」というこの規定は、私たち全員が他のユーザーをRTできる根拠になるのか。……なるのかもしれない。あるいは、Twitterが公式に認めた形式でのRT(公式RT)だけは許されると読むのか。……読むのかもしれない。どうもいささかあいまいな気がする。

 1つはっきりしているのは、Twitter自身は私たちのツイートを外でどう使おうが自由らしい、ということだ。(まあ、わたしたちが利用規約のある申し込みページで「アカウント作成」とクリックするだけで、利用規約に法的に拘束されるならば、という前提だが)

 いずれにせよ、Twitterは利用規約などを若干修正して、RTが認められることを明確化した方が良いかもしれない。

Q5:ではやはり、RTは著作権侵害なのか?

 利用規約の意味があいまいな場合、やはり無断でRTはすべきではないのか。ここからはますます私見めくが、筆者はそれでもRTを続けるだろう。

 第1に、そうはいっても利用規約には、Twitter関係で私たちのツイートが再利用されることは明記されている。第2に、おそらく多くのユーザーは遅くとも利用開始後しばらくするうちに、ここではRTは当たり前だということを知るはずで、それでもツイートを続けている(あまつさえ自分でRTさえする)。つまり、RTされるという暗黙の了解があるユーザーは少なくないように思える。第3に、そもそもツイートは公表されており、通常のRTならば、される側に実質的な迷惑があるとは考えにくいからだ。

 ただし、元のツイートの意味を曲げるようなRTは要注意であること、言うまでもない。また、元の発言者が分からない形でRTすると、著作者人格権の問題が生ずるかもしれない。

Q6:まとめサービスは勝手にやって良いのか?

 「Twitter上の発言を、勝手に他人がまとめます」的なサービスはどうだろうか。これは、Twitter内でのRTに比べると、もう少し入り組んだ判断になる。

 第1に、こうしたまとめサービスについてまでユーザーに「暗黙の了承」があるかはやや疑問だ。第2に、独立の事業者はTwitterから了承を得ない限り、前述の利用規約を根拠には使えない。もっとも、当のTwitterはTwitter APIを提供することで、こうしたまとめサービスなどを包括的に推奨しているように見える(利用規約の『コンテンツと本サービスの利用に関する制限』にも記載がある)。第3に、まとめサービスにより、まとめられるユーザーに実質的な迷惑はあるだろうか。

 こう考えると、APIを利用したまとめサービスは問題が少なく、それ以外の手段によるものは(内容によっては)グレーだと言えようか。いずれにせよ、元の発言の意味が変わるようなまとめ方は、さらに法的問題をはらんでいるので要注意だろう。

Q7:人のつぶやきを集めて、「電車男」のように出版したり映画化するのは?

 これは、注意して著作物にあたらないツイートだけを集めたというような場合を除いて、むしろ限りなく侵害に近い。現実問題としても、著名な人物のつぶやきだけを集めてファン向けの書籍にして出すなど、本人に実質的な損害を与える場合も少なくないだろう。

 ただし、繰り返すが、現在の利用規約ではTwitter自体は、ツイートをどう使っても良いことになっている。しかもその結果、何か権利侵害が起きた場合の責任は元のユーザーが負うし、もめた場合にはカリフォルニアで裁判という決まりだ。さすがアメリカ流。この辺りにあいまいさはないのだ。

 こうしてみると、140字の中にも、いや140字だからこそ、ネットと著作権のさまざまな課題が垣間見えてくる。著作権は、情報流通のあり方に直結する、結構深くて刺激的な話題である。面倒だから避けて通るのではなく、どんどん活発に議論したい。

 コミュニケーションの最先端で、情報流通のかたちをみんなで議論する。なんだ、Twitterと著作権との相性、意外に良いじゃないか。

福井健策

弁護士(日本・米国ニューヨーク州)、日本大学藝術学部客員教授。骨董通り法律事務所 for the Arts

Twitter:@fukuikensaku


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