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PCのメンテナンスを夜間にするメリット――大塚商会に聞く

» 2010年09月13日 13時23分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 業務用PCでの日常的な保守作業には、OSやセキュリティソフト、アプリケーションなどがある。障害の発生に備えてPCのデータを定期的にバックアップしているケースもある。多くの企業ではこうした作業を従業員に任せているが、作業時間は長い場合で数時間に及ぶこともある。

 時間を有効活用したい従業員にとって、この作業は大きな負担であり、業務時間中にはできるだけ避けたいというのが本音だろう。帰宅間際に作業したり、翌日以降に後回しにしてしまいがちである。その結果、セキュリティの確保などの観点から「PCの管理が適切にできない」と悩む管理者が少なくない。

 こうした課題を解消するため、大塚商会は9月から「インテル vPro テクノロジー対応端末設定サービス」というアプリケーションパッケージの提供を開始した。このパッケージは、インテルのクライアント管理技術「vPro」を搭載するPCを対象に、アプリケーションの種類に応じたBIOSの設定やvProの機能の有効化、ネットワークおよびパスワードの設定を行う。

 そのほかに、アップデート作業に対応する「Over Time(就業時間外)アップデート サーバパック for QND」と、バックアップのための「Over Time(就業時間外)クライアントバックアップ サーバパック for Secure Back」(年内提供予定)の2つのサーバパックも用意している。

 これらのサーバパックは、PCの電源を遠隔からオン/オフできるvProの機能を活用しているのが特徴だ。アップデートもしくはバックアップを行うサーバが、管理者によって指定された時間にvPro搭載の対象端末を遠隔で起動させ、作業を行う。作業時間を夜間や従業員の外出時などに設定することで、従業員がオフィスにいる時間帯にこれらの作業で本来の業務を中断しなくて済むようになる。

 大塚商会 プロダクトプロモーション部 サーバ・ストレージグループの中本明彦課長は、「OSやセキュリティソフトなどの更新は、PCを利用するすべての従業員がしなくてはならず、本来の業務を中断することで失われる生産性は無視できない」と指摘する。

 同社が試算したところ、1人の従業員がこうした作業に割り当てる時間は週に約15分間で、年間では12時間に及ぶ。PC100台の環境では、人件費に換算すると年間276万円のコストが発生している計算である。中本氏によれば、本パッケージを活用することで、このコストを約9割削減できるという。

 2008年の金融危機を契機に多くの企業がIT投資の縮減を図るようになった。減価償却期間が過ぎたPCを使い続けるケースも少なくない。だが一般的には、導入年数が経過するほどPCの運用コストは高まると言われる。ハードウェアの故障率が高まるため、それに伴う業務の中断や人的対応などのコストが大きな要因とされる。

 限られたIT予算の中で投資効果を高めていくには、従業員の生産性向上を支援する手段を戦略的に利用していくことがポイントになるといえそうだ。

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