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「これがMicrosoftの答え」――MS、クラウドサービス「Office 365」提供開始

» 2011年06月29日 18時28分 公開
[本宮学,ITmedia]

 日本マイクロソフトは6月29日、Microsoft Officeの機能などをクラウドを通じてWebブラウザ上で利用できる「Office 365」の提供を開始した。ユーザーはMicrosoft Officeの文書作成・閲覧機能や、ファイル共有、予定表の共有、Web会議など、幅広いサービスをWebブラウザ上で利用できる。利用料金は1ユーザーあたり月額600円から。

 ユーザーはOffice 365を利用することで、WordやExcel、PowerPointなどのOffice文書をさまざまなデジタル機器のブラウザ上で作成・閲覧できるほか、Officeのパッケージ版と連携し、オフライン環境で作成したOffice文書をクラウド上に自動同期して他のユーザーと共有することができる。

photophoto 「Office 365」の利用画面。Web会議中にプレゼン資料を共有・編集したり(写真=左)、Webメール(写真=右)を利用したりできる(クリックで拡大)

 インスタントメッセージやWeb会議によって他のユーザーとリアルタイムでコミュニケーションが可能になっており、その際にプレゼン用資料やExcelファイル、デスクトップ画面などを自分と相手のブラウザ上で共有し、複数のユーザーで同時に編集を加えながら会議することも可能だ。

 同サービスは限定β版が2010年10月、公開β版が今年4月から提供されてきた。この日から20言語に対応した正式版が40カ国に向けて提供される。

 利用料金は、管理機能を簡略化した小規模向けメニューの「プラン P」が月額600円。中規模〜大規模向けメニューの「プラン E」(E1〜E4の4種類)が月額1000円から。

photo 米Microsoftの沼本氏

 米Microsoftの沼本健 コーポレーション オフィスプロダクトマネジメントグループ担当 コーポレートバイスプレジデントは、「Microsoft Officeは個人の生産性を高めてビジネスを効率化するのに適したツール。Office 365では従来のパッケージ版の機能をより進化させ、企業の中の人と人とを結び付ける『コラボレーション』を可能にした」と話した。

 また、「大企業並みのITインフラを持たない中堅・中小企業でも、初期投資なしでWeb会議などを利用し、社内のコラボレーションを実現できる」(同氏)のも特徴の1つ。Office 365では一般的なPCなどに搭載されているカメラによって、HD画質のリアルタイムWeb会議が可能だという。沼本氏は「中小企業から大企業までの幅広いニーズに対し、月額制で利用できるOffice 365こそがMicrosoftとしての答えだ」と話した。

photo パートナー戦略によって国内での利用拡大を図る
photo 日本マイクロソフトのローネー執行役常務

 日本マイクロソフトは同日、Office 365の提供開始にあたり、NTTコミュニケーションズ、大塚商会、リコーと業務提携したことを発表した。

 日本マイクロソフトのバートランド・ローネー執行役常務は、「日本の中堅・中小企業の多くはクラウドに対する知識が乏しかったり、セキュリティについての不安を抱えており、クラウドの導入に消極的な現状がある」とみる。同社は上記3社とのパートナー戦略を通じて中堅・中小企業に対する顧客サービスや技術サポートを強化し、Office 365のユーザー数を増やしていきたい考えだ。

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