2007年9月から月1回のペースで開催しているWeb系技術の勉強会「BPStudy」は、2011年10月に第50回を迎えた。勉強会を開催するノウハウはただ1つ「続けること」だと主催の佐藤治夫さんは話す。
BPStudyを開催することになったきっかけは、飲み会だったそうだ。「エンジニア同士の飲み会があって、それがとても楽しかったのです。技術の話をして、それが職場で話すよりも盛り上がったのです。そこで、こういう場があるといいな、勉強会を開催すればみんなが集まれるきっかけになるかな、お互いに成長もできるかな、と感じました」(佐藤さん)
このように軽い気持ちで始めたため、最初のころ(第1〜4回)は勉強会というよりも、技術本を題材に自由に話し合う内輪の集まりだった。しかし5回目以降、なんとなく雰囲気が変わってきたという。
開催時は毎回、事前にWebページを作っていた。特に宣伝はしなかったが、徐々に一般の方も参加するようになり、10人以下だった参加人数が20人近くになった(第5〜10回)。このころからテーマを作って講師を立てる勉強会スタイルができあがる。
ターニングポイントとなったのは、第11回を開催したときだ。参加人数が突然増え、それまで行っていた会社の会議室では入りきらなくなって、貸会議室を借りることになったのだ。「何かの閾(しきい)値を超えたと思った」と佐藤さんは当時を振り返る。
その後も順調に参加者は増え、現在の参加者は50人ほど。会を連続開催できたこと、そして懇親会に連続参加してきたことは「自分で自分をほめたいと思う」(佐藤さん)
勉強会はもちろんだが、その後の懇親会も大切だと佐藤さんは話す。ざっくばらんな話や参考になる話が聞けることもある。
失敗談もある。初期のころ、30人の事前登録があったので5000円のコースを人数分予約したところ、当日20人しか現れず5万円の赤字になったことがあるそうだ。これに懲りた佐藤さんはそれ以降、コースではなく席のみ予約することにした。予約が入っていなくて当日お店に入れず、男性10数名で夜の町をさまよったこともある。この経験からは「前日確認は大切だ」ということを学んだ。失敗しながら学び次回に生かす、これは勉強会開催のノウハウの1つだろう。
勉強会を開催してきてよかったこととして佐藤さんは「人」を挙げる。昔の知人に会えたり、お客さまが参加してくれたり――知り合いが増えること、人とつながって刺激をもらえることが純粋にうれしいという。
BPStudyが参加者や講師の「チャンスをつかむきっかけ」になることもうれしい。第46回講師の@marippe_がはてブの女王になったことや、第38回講師@hasegawのプレゼン資料を公開したところ1万回以上閲覧されたことなどを、佐藤さんは我がことのように喜ぶ。
@monjudohのように、BPStudy参加がきっかけで佐藤さんが経営するビープラウドに入社した社員も何人かいる。ただし「勉強会の目的は勉強することです」ときっぱり。採用に役立つからと勉強会を開催するのは本来の目的ではない。
勉強会開催のノウハウは続けることだ。雨の日も、風の日も、忙しくても、続けること。「勉強会は1種のコミュニティーです。そこから人が変わるきっかけになったり、刺激を受けたり、コミュニケーションを取ればいい。そして、それを続けること。それだけです」。
BPStudyの今後の展望を聞いたところ、「会社を超えて、技術と人、人と人がつながるような勉強会にしていきたい」との答えが返ってきた。「いろいろな人の考えを聞いたり話し合ったりすることで、会社以外の世界の考え方を知るきっかけになるとうれしい。その出会いが、こんな人になりたい、自分もこういうことをやってみたいというモチベーションにつながり、技術者が未来について考えるようになるといい」
「IT業界は自由だと思う」と佐藤さんは話す。ここ数年、BPStudyを追いかけるように多くのIT系勉強会が生まれ活動するようになった。それらの勉強会やコミュニティーが交流することでさらに多方向のつながりができ、良いことも悪いことも情報共有できるようになった。横のつながりが業界にとってよい浄化作用にもなっているのだ。勉強会を通じてつながりを作ることで「IT業界の発展に少しでも貢献したい」と願っている。
佐藤治夫さんの勉強会開催のポイント
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR