そんな中、OneTopiはスケール拡大を狙い、キュレーションをプラットフォーム化した。これまでは特定分野をキュレーターを選任するときには面接していたのだが、一般の誰もがキュレーション行為ができるサービスにリニューアルした(結果的にそこで失敗した)。そのリニューアル時、OneTopiをスタートしたときに何を考えていたのかを2012年3月27日にTogetterでまとめたものがこれだ。そのツイートをリライトして、この記事を締めくくろうと思う。
ITmediaだけでも1日100本以上の記事が出る。そのトップページのセレクションとサブタイトル、概要付けを数年感やってた経験から、キュレーション行為の必要性を感じていた。
Webメディアのトップページは死につつある。単体の記事は読まれ続けるが、トップページ、セクショントップはパワーが落ちている。そこに誘導するインセンティブの1つとして、分野に特化した「編集長」による記事ピックアップ、コメントなどを考えた。
1人の視点だけではすべてをカバーすることは難しい。それこそ10年、20年と経験のある、整理部的なセンスのある人でないと、その役は勤まらないだろう。ならば、もっとカテゴリーを細分化していったらどうか。
ただ、そこをもう一歩踏み出して、他社のコンテンツにコメントをつけていくシステムにしたいね、ということで始めたのがOneTopi。
例えば海外ソースの記事については、同じプレスリリース、同じ外電をもとに、リライト、転電をしているのが現状。そのスピード、タイトルのセンスを競ってはいるが、やるせなさを感じていた。他の媒体で既に出ている記事があるのなら、それにコメント追加するだけでもいいんじゃないか。
その分野についてのカバレッジを広げようとすると、さまざまなメディアのライセンスを得て2次利用していくシステムが考えられる。Yahoo! Newsが代表的だが、最近では多くのメディアも同じ傾向にある。それはそれで必要なんだけど……。
最初はブログに記事の一部を引用していくことを考えたが、ちょうどいいタイミングでTwitterが流行りはじめた。このプラットフォームを使えば、適切な記事をピックアプしてコメントをつけることができるんじゃないか。あとはどのようなセクションで分けていくか。
想定したのは専門誌。それも、普通では存在するのが困難なくらいニッチだったり、採算性が難しいかもしれないもの。例えればタモリ倶楽部に出てくるような専門誌。
まあ、記者・編集者・ライターが日常的にやっていることを、外部のリソースも全部使ってできるようにしたのがOneTopiです。さまざまなニュース、海外情報などをピックアップして料理しているブロガー、記者との相性はすごくいいはず。自分がそういうのをほしかったから。
記者・編集者は車輪の再発明を日常的にやってるわけです。勉強にはなるし、そこに独自性を盛り込むことは可能だけど、たんなる書き写し記事もまた多い。Google Newsは同種の記事をまとめてはくれるけど、どれが一番よくまとまっているかの判断はしてくれない。
正直、Google Newsがキュレーションを取り込むのがOneTopi的に一番こわいシナリオだった。キュレーションを取り込んだというニュースはあったけど、けっこうトンチンカンな方向で、いまのところ大丈夫みたいだけど。
OneTopiをスタートしたのは2009年10月。この1カ月前にTogetterが、3カ月前にNAVERまとめがオープンしていた。でも、お互いそれがキュレーションサービスとしてひとくくりにされるとは思ってなかった。
OneTopiスタート時には、ぴったり当てはまる便利なことばがなかったので、アグリゲーションメディアと呼んでた。いまみるとナンダコレだけど。でも、「キュレーター」は2009年10月のスタート時から使ってた。ここ自慢ね。
OneTopi「キュレーター」は、ギャラリーフェイクの藤田玲司がモデル。贋作を見破り、作品の本質を見極める、メトロポリタン美術館(MET)の元キュレーター。 まさかこれが一般化するとはね。これからキュレーションの本を書く人はこのエピソード入れてね。
以上、WELQもMERYも出てくる以前のキュレーション昔語り。
ところで、ギャラリーフェイク14年ぶりの新刊が出たそうですぜ。これは読まねば。
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