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» 2019年06月20日 07時00分 公開

アニメ「BEATLESS」で味わう“認証とシンギュラリティ”架空世界で「認証」を知る(3/3 ページ)

[朽木海,ITmedia]
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 まず、超高度AIは莫大な計算力を手にしていると予想されるので、人間が手に入れた従来の暗号化技術では対処できない可能性がある。

 現在の暗号化技術は、ある程度以上の桁数の素因数分解を行うのに非常に時間がかかる。これは、総当たりでは対応できないという問題や、楕円曲線上の離散対数問題の困難性を根拠としている。いずれも超高度AIを実現している社会では、これらを量子コンピュータなどの上で、短時間で解くアルゴリズムが実現しているものと考えられる。

 実際、第4話でレイシアが村主ケンゴのPCのパスワードロックを解除する場面があるのだが、一瞬で解除している。これがレッドボックスの持つ計算力によるものなのかどうかは定かではないが、当然そうした可能性はあると考えてしかるべきだ。

 こうした世界での認証は、機械の「善性」に委託せざるを得なくなりそうだ。プラットフォームに接続された機械は常にオーナーを認識し、認証し続けている。そのため、認証を意識しなくとも必要であれば全てのリソースを使用できるのだ。

 ケンゴのPCのパスワードロックを解除したレイシアも、アラトの目的には「善性」があると判断し、パスワードロックを解除した。

 では機械の「善性」とは何なのか。その有無をどのように判断するのか。人類を超越した知性と人間はどう対峙(たいじ)していくべきなのか。BEATLESSの重要なテーマだと思われるので、注目してほしい。

次回はあの少年マンガの金字塔

 本稿で興味を持った諸君は、原作に触れるなり、動画配信サービスを利用するなりして、ぜひ作品を視聴してほしい。

 さて次回だが、あの少年マンガの金字塔といえる作品に認証のネタがあるというので、無理やりこじつける……いや、解明を試みたいと思う。

 かなりハードなSF要素の詰まった今回とは違い、少年マンガにありがちな「敵」とか「味方」とかの分かりやすい話になると思うので、あまり身構えないで読んでいただけるとありがたい。

 それでは本日の講義はここまで!

著者プロフィール

朽木 海 (ライター、編集者、γ-Reverse代表)

ゲーム会社や出版社などの「IPが欲しい会社」と、ライトノベル作家や脚本家、漫画家などの「IPを作りたいフリーランス」を繋げるためのプロジェクト「γ-Reverse」の代表。引き続きライター業や編集者業も行っています。

せぐなべ」にて「オンラインゲームセキュリティガイド〜正体バレても大丈夫?ネットの向こうにご用心〜」を執筆。

「せぐなべ」紹介

ITを活用する上で無視できない認証とセキュリティの話題を、楽しく分かりやすく伝える認証セキュリティの情報サイト「せぐなべ」。運営企業のパスロジは、企業向け認証プラットフォーム「PassLogic」や個人向けパスワード管理アプリ「PassClip」などを提供。ITmedia NEWSで認証関連の話題を分かりやすく解説する「今さら聞けない「認証」のハナシ」を連載中。

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