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ZOZO、最高年収1億円の「天才・逸材」採用していた AI時代に向け「やばい人材を集めている」これからのAIの話をしよう(ファッション編)(4/4 ページ)

» 2019年09月20日 07時00分 公開
[松本健太郎ITmedia]
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金山:すでに特化型AIは人間を超越していますよね。この先、あらゆる仕事に特化したAIがどんどん登場してくるでしょう。そうなると人間の仕事がなくなると危惧されていますが、実際には人間がAIに仕えることが仕事になるのではないかと思っています。社内でも言っているんですが、AIにとっての人間は、人間にとっての犬みたいな存在になるんです。犬は新しい発明をしませんし、人間の仕事も分かりません。AIは人間より頭が良くなるので、それくらいの差が出てくるんです。

マスクド:人間が、AIにとっての犬になるということですか?

金山:今は違いますよ。総合的な知能は人間が勝っていて、人間がこの世界の創造主です。でも、いつかはAIに負けてしまう。人間よりも高度なAIが誕生したら、この先の知的生産活動は人間の手から離れてしまうでしょう。何をしてもAIに負けてしまうので、新しい仕組みや思想を生み出すのは、人間の役割ではなくなるんです。そういう未来がくるなら、今この時間を楽しまなくてどうするのって思うんですよね。それが働くモチベーションになっています。

マスクド:世界中の人間が、服に関してはAIに全てを任せられるようになればいいですね。

金山:それを実現するのが僕の役割ですが、相当チャレンジングな仕事です。社会の皆さんからいただいている期待はすごく感じていますが、実際はビビりまくっています(笑)。やりたいですけど、厳しさもある。ソフトバンクの孫さんは日本を「AI後進国」と表現しましたけど、そもそも日本はソフトウェア後進国なので、その流れでAI後進国なだけです。2回負けているので、2回勝つことでようやく世界とイーブンになるんですよ。

マスクド:AIに脅威を感じたりデジタルに適応できない人が、反対を掲げてラッダイト運動(産業革命期に起きた機械打ち壊し運動)を起こしそうですが。

金山:「AIに全てを委ねない」という生き方もあるでしょう。生き方そのものの話にもつながりそうです。

マスクド:例えば、普段スマホを使っているけれども「プライバシーはよく分からない」と、重要なことを人ごとに捉える人は大勢いるでしょう。今はAIも「よく分からないもの」と思われていますが、ITリテラシーの再教育が行われて「あなたはどうするの?」と判断を迫られる時代はいつ来てもおかしくありませんね。

編集後記

 ノーベル文学賞を受賞したアルベール・カミュは「人間は現在の自分を拒絶する、唯一の生きものである」と言ったといわれています。今の自分のままではダメだと否定できるのは自分だけであり、自分を変えられるのもまた自分だけです。

 金山さんの発言は「変わらないとやばい」という焦り、まさにカミュが指摘した「現在の自分の拒絶」から来るのだと感じました。もっともっと先の未来を見据えているからこそ、現在の自分が変わることに何の戸惑いもないのでしょう。

 ZOZOといえば創業者の前澤友作氏や、SNSで話題になる田端信太郎氏など、いろいろな意味でやばい人たちがいると思っていましたが、AIに対してもやばい人たちを仲間にしながら真剣に取り組んでいることが分かりました。

 ZOZOはヤフーの傘下になり、AI事業も強化されるはずです。ファッション領域におけるAI活用の今後に注目したいと思います。

著者プロフィール:松本健太郎

株式会社デコム R&D部門マネージャー。 セイバーメトリクスなどのスポーツ分析は評判が高く、NHKに出演した経験もある。他にも政治、経済、文化などさまざまなデータをデジタル化し、分析・予測することを得意とする。 本業はインサイトを発見するためのデータアナリティクス手法を開発すること。

著者連絡先はこちら→kentaro.matsumoto@decom.org


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